8月18日(水)

 大ニュースだ!バラッチの後継者が決まった。なんとフリードリヒだ。今日、「マイスタージンガー」第三幕、歌合戦の声出し稽古にいきなりワーグナー夫妻が現れた。みんなが心の準備をする間もなく発表があった。
「おそらく現在のみなさんの最も大きい関心事の一つだと思いますが、28年勤めたノルベルト・バラッチ氏の後を継ぐ来年からの合唱音楽監督は、エバハルト・フリードリヒ氏に決定いたしました。」
ワー!大きな歓声と長い長い拍手。フリードリヒが前に出て言う。
「え〜。あの〜。まあ。なんて言うか・・・。そういう訳で、ちょっと責任が重くて・・・。
前任者が偉大すぎるんで。でも頑張りますんで。まあ見てて下さいな。」
変な挨拶にみんな笑いと拍手。

 「マイスタージンガー」第三幕がハ長調の和音と共に終わる。割れるような拍手。今日もうまくいった。塔の上にはフリードリヒと僕。
「何度でも言うけどさあ、本当によかったね。」
「ありがとう。でも責任重いよなあ。この合唱団とこの劇場だよ。」
 バラッチを真中に合唱団が並ぶ。幕が開く。合唱団がカーテンコールを受けるのだ。物凄い拍手とブラボーの嵐。
「来年はフリードリヒさん、あなたがあそこにいるんだよ。」
「君も来年また来るだろう。一緒にやろうな。」
「うん。喜んで僕も手伝うよ。」
「頼んだよ。」
若いフリードリヒ。バイロイトもきっと若返るだろう。新しい時代が来るんだ。この素晴らしいバイロイトのレベルを維持して、この聴衆の熱狂をも維持して、その上に新しい息吹を吹き込もうとしたなら並大抵の努力では到達できない。僕も来年彼の片腕となって精一杯頑張ろう。全力をつくそうと強く決心した。

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