Bayreuth 2003

7月10日(木)
 「さまよえるオランダ人」のオケ付き舞台稽古が午前10時から午後1時までと、3時から6時までの2回。でも午前中の最初の一時間はオケだけの練習になったので、合唱団は11時から。

 指揮者のマルク・アルブレヒトはとてもいいと思う。棒に無駄がないし、音楽的だ。それに祝祭管弦楽団特有の「棒に対して遅れる」タイミングが嫌で、しつこく直している。僕は最初、それがこちらの必然的な間なのかな、とも思っていたけれど、結構ただ反応が遅いだけというのもあるようだ。
演出はかなり周到に考えられていて面白い。オランダ人とダーラントの二人は、まるで双子のように同じ型の衣装を着せられている。第二幕後半のゼンタとオランダ人の二重唱のあたりは、歌っている二人とは別に、ゼンタと同じ衣装を着た子役が、ダーラントに本を読んでもらっている。つまりきっと演出家はこう考えているに違いない。
 この「さまよえるオランダ人」の物語は全てゼンタの心の中のイリュージョンであり、ゼンタは父親から昔繰り返し聞いたオランダ人の伝説の中にいつしか夢想するようになってしまったのだ。その背景にはゼンタの父親へのエディプス・コンプレックスがあるのだ。つまりゼンタの夢想は、父親に対する思慕がオランダ人という別の形をとって現れてきたものなのである。

 合唱はかなりうまくいっている。ただ、合唱練習場でマイクでひろっている「幽霊船の合唱」の音がいけない。
ここの劇場は、ライブにかける情熱やクォリティには他に追従を許さないものがあるけれど、こうした電気音に対しては全くお話にならない。フリードリヒもいろいろ突っついているようだが、一向に直る気配もない。駄目だね、これは。

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