基本

 やっと「ふぬけ」から立ち直り、未来に向けて動き出した。と言っても、そんなに遠い未来を見つめているわけではない。10月2日にオフ会をやるんだ。オフ会といってもやはり僕の会だからね、格調高くやるんだよ。うふふ。最初に軽く講演会をかまします。議題は「ブラームスとワーグナー」だよ。これはちょっとやり甲斐があるテーマだね。交響曲作家と劇作家の一騎打ちだ。まあ、そんなには深入り出来ないけど。だって、きっと僕のことだから無制限にしたら半日でもしゃべり続けてしまうだろう。
 先日もここで書いたけれど、ブラームスとワーグナーは実はかなり近いところにいるんだ。ブラームスはアカデミックな装いをしたロマンチストだし、ワーグナーはいかさま師のようにも見えるけれど、意外と論理的でシンフォニック・・・・ここからあとはオフ会に来たら教えてあげる。一次会が終わった後は、希望者者で飲みに行くかも知れないよ。僕は本堂の中で埃をかぶっているご本尊ではないからね。巷に出て行くのさ。

 この一週間は、新国立劇場では「カヴァレリア・ルスティカーナ」「道化師」の練習に明け暮れた。でも新音楽ヘッドコーチ岡本君が来てくれたお陰でかなり楽させてもらっている。舞台稽古の午前中には、いつもカヴァーの為の稽古が組まれる。この間まで僕がやっていたけれど、この8月から出なくていいんだものな。なんか申し訳ない感じ。
 「道化師」のプロローグでは、最近の演出では珍しく幕が降りている。舞台では何も起こらず、聴衆は音楽を聴くしかないのだけれど、かえってこれが、「これから何が起こるんだろうか?」なんていろいろ想像力を喚起し胸をワクワクさせる。有能な演出家アサガロフのこと、そこまで考えていたのだろうな。それが証拠に「カヴァレリア」では、最初から裏コーラスもみんな表に出してしまって、ばりばり芝居させている。それはそれで面白い。Simple is the best. 及ばざるは過ぎたるに勝る。という言葉があるように、時々は基本形に帰ることは必要だ。
 ジャコミーニのカニオは絶品だ!ヴェリズモ・オペラってまさに血湧き肉躍る。イタリアオペラ・ファンにはたまんないね。でもストーリーの展開は暗く陰惨で、ちょっと救いがないな。それに僕は、ちょっとでいいからなにか天上的なものとか、超自然的なものとか感じさせる作品が好きだな。あまりに生々しい現実だけ見せられるとちょっとやりきれなくなってくる。

 新国立劇場以外では、名古屋のモーツァルト200合唱団のクリスマス・コンサートの為にクリスマスソング・メドレーを編曲していた。五反城教会で12月23日にやる。前半はメサイア(ドイツ語版)の抜粋、後半がクリスマスソング。伴奏は弦楽器5人とオルガンだけのこじんまりとした演奏会。でもこういうの結構好き。
「ナディーヌ」とは全然違う気持ちでFinaleに向かっていて、とても楽しい。それに出来た楽譜を以前よりちょっと良い音にしてCDに焼いてみた。最近の勉強の成果。
 さて、明日は久しぶりに浜松バッハ研究会に行く。「マタイ受難曲」の練習。なつかしいなあ。バッハなんてここのところ離れていたものなあ。グレン・グールドのCDだけは聴いていたけど。余談になるけど、グールドのアーティキュレーションは、周りがまだロマンチックに弾いていたあの時代では画期的でした。ノン・レガート奏法は、実はバッハ、モーツァルトでは基本なのです。
 あ、また基本の話だ。基本は大事です。日本の体操も基本を極めたから団体優勝したのです。合唱団の練習もそうだと思う。僕は、最近ではどこに行ってもあまり目新しい事をやろうとするよりも基本に戻ることを考えている。
 浜松では、いつも口癖のように「喉で歌わないで、息を回して、息で歌って!」と言っているので、前回の練習では、言おうと思ったらすでに黒板に「息をまわす」と書かれていた。でも歌は息です。「いき」は命です。「いき」をするものが「生きている」もので、いきいきとした芸術を奏でるのです。これが全ての基本!わかった?
もっと教わりたかったらオフ会に来なさい!!
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