修羅場前夜

 例のNHKのバイロイト音楽祭2010の準備は始めたが、まだ修羅場には入っていない。楽劇「ラインの黄金」は、広瀬大介(ひろせ だいすけ)氏との対談が後半に入ることになったので、僕の原稿作りはかなり楽になった。11月28日の日曜日はオフなので、朝からずっと「ワルキューレ」の準備をして、先ほど第一稿をNHKに送ったところ。
 「ワルキューレ」は、今年の8月21日土曜日の深夜から翌日の明け方にかけて、バイロイト音楽祭始まって以来の画期的な、全世界に向けて生放映が行われたので、すでに御覧になった方もいるだろう。実は、その解説の仕事も僕の所に打診が来たのだが、ちょうど8月29日に演奏会をやった名古屋のマーラー・プロジェクトの最後の集中稽古のまっただ中だったので、残念ながら辞退した。これは本当はとてもやりたかったのです!
 
 僕は、7月19日の「ワルキューレ」のバイロイト音楽祭のゲネプロ(総練習)が、7年ぶりのバイロイトでの初日だったので、実に興奮かつ感動したことを記憶している。まあ、くわしいことは放送を聴いて欲しいが、あらためて祝祭管弦楽団の力をまざまざと見せられてびっくらコイたのだ。それとクリスティアン・ティーレマンとオケとのコンビネーションが、ここにきて揺るぎないものとなっているのを、とても嬉しい気持ちで聴いた。
 あれもこれも言いたいけれど、そうもいかないんだよ。時間に限りがあるので、本当に言いたいことだけを原稿にしたためた。この後、まだリングだけでも「ジークフリート」と「神々のたそがれ」が控えているし、その他にも3演目もある。ああ、気が遠くなってくる。

早く雪が降らないかな
 11月23日(火)は、また角皆優人(つのかい まさひと)君に会った。今回は角皆君の紹介で、渋谷にあるChiemsee(ドイツ語のキム湖の名前に由来するスキー・ウエアーを中心としたブランド)の店にスキー・ウェアーを買いに行く。このキムジー渋谷リミテッドストアは11月23日までの限定で営業していたのだ。つまりその日は最終日。
 普通に買ったら結構ヤバイくらい高いブランド商品を、角皆君の顔パスで随分お勉強してもらった。店内でみんなで一緒に写真を撮ったのが、ホームページにアップしてあるので、見て下さい。

 今回買ったのは、とてもシックな上下のウエアーで、上着なんかはそのまま普段でも着られそうだ。実は角皆君が前に着ていたのと同じモデルだそうで、ポケットの具合とか、いろんなことがとても使い勝手がいいということだ。それから、しゃれた帽子と手袋を買った。なんだかワクワクしてきた。早く雪が降ってスキーに行けないかな。でも、その前に原稿だ!原稿!

失業して白馬に行くんだ!
 実は、一月になんと4泊5日で白馬に行く予定を立てている。何故そんなことが出来たか?それはね・・・・ある旅の仕事が入っていたのだが、予算の都合で僕を連れて行くお金がないということで、東京での練習に参加したあと、
「そんじゃあ、みんなガンバってねー!」
と言って送り出す。つまり、指導者のわたくしは、その後失業してしまうわけだね。合唱団は現地で放置状態。大丈夫かなあ。
 不景気だの事業仕分けだので、こういう事もチラホラ僕の周りでも起こっている今日この頃だが、今回ばかりは収入減を嘆くよりも、
「ヤッター!これで白馬に行けるぜ!」
と喜ぶ気持ちの方が多かった。だってまともに考えたら、白馬になんて絶対に行けないままイタリアに行くことになってしまうところだったんだからね。

ペンション、ウルル
 それで、まずホテルを取らなければと思ってインターネットで検索したら、角皆君のホームエリアである白馬五竜スキー場の近くにウルルというジャズがかかっている素敵なペンションがあった。申し込もうと思いつつグズグズして、ある日決心して予約ページを開いたら、なんと満室となってしまっていたのだ。
 丁度その時、角皆君からメールが届いた。
「三澤君、ホテルに泊まるんならいくつか紹介してあげるよ。たとえばウルルというペンションなんかいいよ」
というではないか。そこで僕は、
「あのねえ、数日前まで空いていたんだけれど、ちょうど今日申し込もうとしたらいっぱいになっていたんだ。なんとかなんねえ?」
と駄目モトで訊いてみた。すると、
「ちょうど今日これから、用があってオーナーに会いにいくから訊いてみるよ」
というではないか!ええ?マジっすか?
 で、信じられないことだが、ウルルのオーナーはいろいろ調整してくれて、なんと僕のために部屋を空けてくれたのだ!ジャジャジャジャーン!いやあ、持つべきものは友だねえ!しかも、その友ってやつが、めっちゃ役に立つやつでねえ。あったしゃ、しあわせもんでっさあ!

 その後、ウルルのオーナーに僕の方からお礼のメールを送ったら、返事が来た。どうも角皆君が頼み込んで、オーナーも無理してくれたらしい。ジャズは先代のオーナーが好きでレコードで集めていたということだ。角皆君の話によると、その先代はよく客に混じってカウンターでチビチビ酒なんか飲んでいるという。ますます面白そうな宿だ。

もう至れり尽くせり
 まだ話があるんだぜ。僕がまだスキー靴もスキー板も持っていないのを知っている角皆君は、展示会で使ったきりまだ一度も使ったことのないスキー板と靴を、業者から破格の値段で僕の為に取っておいてくれている。ただし、それは白馬にあるので、僕が白馬に行かないと手に入らない。
 ひとつだけ残念なことがあるんだ。僕が白馬に行くのは1月14日金曜日の夕方の新宿発のバスで、白馬には夜遅く着く。ところが週末には、角皆君はフリースタイルの選手達を連れてどこかの大会に行ってしまうのだ。その代わり、僕はスキー・スクールに入って、基礎からみっちりやるんだ。そのスキースクールのオーナーって角皆君なのだよ。
例の板と靴は、角皆君が、自分はいないけれど分かるように全部手配してくれるというのだ。いやあ、もう踏んだり蹴ったり・・・・いやいや至れり尽くせりだねえ。
 月曜日には角皆君がいるので、一緒に滑ってその夜は彼の所に泊まる。また音楽談義に花を咲かせるのだ。これも超楽しみなのだ。火曜日は、半日滑って午後のバスで帰ってくる。ざっとこんなスケジュールだ。

 これで、スキー板も靴もウエアーも手はずが整った。万全だい!まあ・・・・外側から固めるのはいいとして・・・・あとは、問題は滑る人の腕だな・・・・。

温水プール・ミシュラン
 最近は自転車通勤が滞っていた。天気が悪かったり、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団や「アンドレア・シェニエ」公演など、衣装や荷物を持っての複数の場所への移動などということになると、自転車通勤は無理だ。でも、何もしないと体がなまってしまう。代わりにといってはなんだが、再び僕の中で水泳がマイブームになっている。
 水泳って便利なんだよ。仕事と仕事の合間に30分だってちょこっと泳ぐことが出来る。それでも集中して泳げば、かなりクタクタになるよ。これまでは、家の近くでは、国立市の総合体育館や、立川市の柴崎体育館に行き、都心では東京体育館と決めていたが、最近は面白いから活動範囲を広げて、まるでミシュランの判定委員ではないかと思うくらい、いろんなところを巡っている。

池袋スポーツ・センター~「指輪困るんですよね」
 池袋スポーツ・センターは、池袋駅のすぐ北側。高い煙突がすぐそばに見えるのに、なかなか着かない。ここは健康プラザとしまという建物の11階で、とても眺めがよくて気持ちが良いが、プールは実質4コースくらいしかなくて、しかも人が多いので思い切って泳げないのが残念。
 びっくりしたのは、僕が泳いでいたら係員がいきなり来て、
「指輪されてますよね。困るんですよね」
と言う。
「キャップをあげますから、指輪の上から指に刺して下さい」
「はい・・・・」
「ここのご利用は初めてですよね。くれぐれも衝突には気をつけて下さい。自由エリアで相手に追いついてしまったら、そこからUターンして反対方向に泳いで下さい。けっして追い越しはしないように!」
「は・・・はい・・・」
なるほど、人が多いので衝突することが多いので過敏になっているのだね。指輪もぶつかると凶器になって人を傷つけるというわけか。指輪していることを咎められたのは長い生涯において初めてだ。うーん・・・・池袋のプールはなかなか難しい。

都会の穴場、渋谷区スポーツ・センター
 一方、渋谷区スポーツ・センターの温水プールは、渋谷区といいながら渋谷駅のすぐそばなんかじゃなくて、幡ヶ谷の駅から歩いて数分という、渋谷区としては辺鄙なところにあるためか、結構すいていて泳ぎやすい。窓もあって眺めもいい。ということは、外からも見られているってことでもあるんだけどね。
 ここは、以前、新国立劇場制作部にいて僕と一緒に仕事していたM嬢の紹介。彼女は今、イギリス人と結婚して二人の子供を育てながら営業部で働いている。つまり僕のチラシのエッセイ係。結婚する前に一度水泳にハマッてそのスポーツ・センターに毎日のように通っていて、2千メートルくらいスイスイ泳いでいたということだ。意外だったなあ。
 彼女は、何でも思っていることをフランクに言う性格で、いろいろ誤解を受けやすいんだけど、僕はそういう女性をむしろ好むのだ。だから仲良し。でも、もしプールで一緒になって僕の泳ぎを見たら、きっとひとこと、
「三澤さん、ヘタですね」
って言うんだろうな。一緒にならなくてよかった。まだ子育て真っ最中だから、しばらく渋谷スポーツ・センターに通っていてもカチ合うことはないだろう。

市外居住者800円・・・でも・・・府中市生涯学習センター
 同じく辺鄙ですいているという意味では、府中の生涯学習センターの温水プールは、時間帯によっては貸し切り状態になるので気持ちがいい。駅からちょっと遠いからね。貸し切り状態は良い面もあるが、監視員が僕だけ見ていることになるから、かえって緊張してしまうよ。
 市内の住民は2時間400円だけれど、市外住民は倍の800円。たかーい!でも、ここだけのハナシ・・・カードの自動販売機のところにも、エントランスの自動改札のところにも誰もいないので、400円で入っちゃっても誰にもとがめられない・・・勿論僕は800円出して入りましたよ。入ってますけど・・・毎回、なんかもったいないことをしたと思ってしまうワタクシってイケナイおじさんですね。それにしても、すいているのは嬉しいが、運営する方からしてみたら、張り合いがないだろうけれどね。

大好き!立川柴崎体育館 
 僕が一番好きなのは、立川市の柴崎体育館。この体育館は、外から見ると体育館に見えないほどしゃれている。明るくて水もきれいで気持ちいい。人はそこそこ入っているけれど、広いので窮屈な感じはしない。
 ガラス張りの天井は、真夏の暑い日にはガバッと開いて、屋外プールに早変わり。プールなんてどこで泳いでも同じだと思うでしょう。でもね、気に入ったプールで泳ぐと、うまく泳げるものなんだ。

思わぬ反響、朝霞市わくわくどーむ
 11月27日土曜日は、午前中に、来週演奏会を行う大宮聖愛教会を使わせてもらって練習した。夜には志木第九の会の練習で時間がドーンと空いてしまった。仕事場が大宮に引き続いて志木なのに、国立の家まで帰るのも馬鹿馬鹿しいと思って、いろいろ勉強道具を持ってきた。
 勉強道具だけでなく水着も持ってきた。実は、インターネットで調べていたのだが、武蔵野線北朝霞駅から遠くないところに「わくわくどーむ」という温水プールがある。北朝霞から市内循環バスが出ているので、150円払ってトコトコと乗っていった。
 ここは流れるプールやジャグジーもあってレジャーランドのようだ。でも冬場のせいか利用者は少ない。もったいないな。民間企業だったらとっくにつぶれているかもね。府中と同じで市内住民400円。市外住民800円だが、府中と全く同じように、カード式で全自動無人。いやあね。400円で入りたくなるわよ。でも僕は男らしく800円払ったのだ。ジャグジーで帰り際はあったまって出たので、体が冷えなくて済んだ。

 帰りは歩いて北朝霞駅まで帰るつもりが、道に迷って一時間くらいさ迷った。でもその間に、バイロイトの「ワルキューレ」の録音をi-Podで聴けたので、運動も出来たし一石二鳥だ。お陰で、日曜日の朝から「ワルキューレ」の原稿作りにすんなり入れたわけだ。

 後で志木第九の会の練習に行った時に、僕がわくわくどーむに行ってきたと言ったら、みんな、
「ええ?せんせい、わくわくどーむに行ったんですかあ?」
と、嬉しそうな顔をしてくれた。
ある団員などは、
「うちの息子がそこでアルバイトしてました」
と得意そうに言っていたし、事務局長のOさんも、
「前に、歩きに行ってましたよ」
と言っていた。なんか、思わぬ反響に驚いてしまいました。

 でもねえ・・・・水泳ってさあ・・・・所詮、行ったり来たりばっかりだろう。やっぱ、スキーのように大自然があって、変化があるってのがいいよな。ま、お手軽で、安上がりだから、あまり贅沢は言えませんね。

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