キャンプ大成功~来年もやるぞう!

三澤洋史

「ホフマン物語」終了
 新国立劇場「ホフマン物語」公演が終わった。前にも言ったが、今回は再演ながら充分な練習時間を取ることが出来て、結構初心者の合唱団員がいたにもかかわらす、みんな落ち着いて本番に臨むことが出来、それぞれ実力を発揮できたのはありがたかった。ソリスト達の粒が揃っていたこともあり、公演は大成功で、楽しい舞台に聴衆も沸いた。

 女声合唱団員達は、可愛い衣装に心も弾んでルンルン気分。そりゃあ、舞台ともなれば、老けメイクをしたり、ボロをまとった乞食なども演じなければならないが、やっぱり自分がよく見える方がいいものね。


ホフマン物語女声合唱

 音楽スタッフ達もみんな和気藹々と仲良く、それでいてそれぞれがプロの面目をかけて素晴らしい仕事をしてくれました。マエストロのように、表に出て脚光を浴びたりしないかも知れないけれど、オペラにおける我が国最高の才能がこの楽屋に結集しているのだ。
 と言っている間に、次の「愛の妙薬」がもう佳境に入っている。両方掛け持ちの音楽スタッフ達は休む暇もない。このように淡々と仕事をこなしているように見えながら、しかもひとつひとつを丁寧に仕事していく彼らを見ていると、我が国のオペラ界の成長及び成熟を肌で感じる。


ホフマン物語スタッフ達

キャンプ大成功~来年もやるぞう!

 「マエストロ、私をスキーに連れてって」キャンプが、2月、3月とも、大成功の内に無事終了することが出来た。感無量である。キャンプに参加して下さった方々には勿論、インストラクターの方々や、その他、これに関係して下さった全ての人、とりわけ、大親友の角皆優人(つのかい まさひと)君とその奥様である美穂さんに、深い深い感謝を捧げたい。

 運動が大嫌いだった高校時代の僕や、2010年より前のメタボな僕を知る者にとっては、この歳になってこんなにスキーにのめり込んでいる僕など信じられないだろう。なんといっても、この僕本人が信じられないのだから。
 そして、夢中でゲレンデに通っていた僕は、
「この僕のスキー熱は、僕を一体どこまで連れて行くのだろう?」
と思っていたのだが、それがとうとうひとつの形を成してきたのを感じる。まだまだ、この先何が起こって、これがどう発展していくのか分からないけれど、この世を超えたひとつの大きな意思によって突き動かされていることは確かなのである。
 そして、僕の場合、こういう時は必ずどこかに辿り着くのだ。ちょうど、音楽に突き動かされ、高校まで何も専門教育を受けていなかった僕が音楽家に成れたように。僕には勿論自由意志があるのだが、人生の根幹に関わる大切なことは、すでに与えられた設計図に従って嫌が応にも動かされているようだ。それが「動かされて嫌だ」と感じないのは、情熱とか「好きという感情」によって自主的に動いているように仕組まれているから。
 そういう僕からみると、このキャンプは必ず成功するようになっていて、次の年にもっと発展するようになっている。もしかしたら、そこにはいくつかの問題も立ちはだかり、僕もそのことによって学ばされ、自分の欠点を指摘され、自分が成長することを余儀なくされるだろう。それでも天は僕にこのキャンプを続けるよう要求している。僕は、この道を歩まねばならないのだ。

 3月のキャンプは、約一週間くらい前から天気予報が怪しく、下手をすると最悪の事態に陥る可能性が濃厚であった。つまり、雨という予報が出ていたのだ。スキーをする者にとっては、雪が降るのはもとより覚悟の上で、スキー・ウェアーも雪に備えて作られているので問題はないが、雨となってしまうと話は全く違う。
 まずモチベーションが激下がりである。たとえば、リフトにたまった雨水は、かなり防水のズボンも簡単に通して、お尻がビショビショになってしまうし、一度雨水がウェアーを通して中に入ってしまうと、たちまち体が冷えて風邪引いてしまう。
 なんといっても、飯田みち代さんのような初心者には、初めてのスキー体験を絶好のシチュエーションで彩ってあげたいものだ。抜けるような青空の下、白銀に輝く雪と北アルプス連峰の息を呑むような美しさでたちまちスキーの虜になって欲しいのだが、雨ではねえ・・・・。
 実際、8日木曜日の午後では雨に降られた。そんなに強い雨ではなかったので、中に染みこむほどではなかったが、ウェアーはけっこう濡れた。心配はむしろ9日の方で、天気予報では午前中は雨、午後は強風でリフトが止まる恐れアリというものであった。
 9日の明け方、土砂降り雨の激しい音で目が覚めた時には、絶望的な思いであった。レッスンの始まる時間にもこんな状態であったら、キャンプは当然中止せざるを得ない。でも、幸運なことに、レッスン開始の10時頃にはかなり弱まってむしろ雪に変わり、さらに一番心配していた午後も、ほとんど雨も風も止んでくれた。レッスンをしていて、そのことを忘れていたくらいだった。これは奇跡だ!

 3月のキャンプでは、数人のキャンセル者が出たので、結果的に初級者コースが3人、メイン・キャンプが7人の10人となった。15人で行った2月のキャンプよりだいぶ少なかったが、その分、アットホームな感じで行うことが出来た。それにメイン・キャンプを2班に分けたので、角皆君が指導するアドヴァンスト・クラスが4人、廻谷(めぐりや)インストラクターが指導するレギュラー・クラスが3人、初級クラスが3人と、かなりきめ細かく指導が行き届いたと思う。
 メンバーの音楽的フィールド分けで言うと、合唱関係の人が3名、愛知祝祭管弦楽団、つまりオーケストラ関係の人が6名、そしてプロのソプラノ歌手という構成である。面白いのは、2月の時とかなり雰囲気が違ったこと。まあ、愛知祝祭管弦楽団は、普通のアマチュア・オケのメンバーとは随分キャラクターが違うので、一概に、「オケのメンバーが多かったので、合唱メンバー中心だった2月と雰囲気が違ったと」いう風に言うことは出来ないな。
 とにかく、愛知祝祭管弦楽団のメンバーは、とっても元気でエネルギッシュでした。合唱メンバー中心の2月は、もっとホワッとしてました。両方とも僕は大好きです。3月の講演会の内容は、オーケストラ・メンバーに合わせて、より指揮のテクニックに関する内容の部分を広げたけれど、その前に、2月のキャンプが終わってからの、新国立劇場合唱団の「アイーダ」の練習に触れ、ベルカント唱法とスキーとの密な関係には、ある程度の時間を割いた。


居酒屋で講演会

 レッスンにおいて、角皆君の、
「スキーは感性を働かせて『よーし、やるぞ!』という気持ちにならないと上達しないからね」
という言葉に反応するというところは、2月も3月も同じ。やっぱり僕は思うのだけれど、音楽をやっている人は、そうでない人よりも上達が早いし、その上達に自分の感性を用いる割合が著しく高い。それに、良い意味でとっても単純で素直なのだ。
 それに、音楽をやっている人は、みんなそれぞれ自分の楽器や分野で、レッスンというものを受けているだろう。だから、分野は違っても、レッスンを受け慣れているということもある。音楽のレッスンで先生が言う事は決して理屈だけではない。感覚的なことを言葉で伝えるのは難しいし、それを受け取るのはもっと難しい。もちろん大人は、一度頭で理解しないといけない部分もあるが、大事な部分はフィーリングなのだ。これがスキーと共通するので、飲み込みが早いと思うのだ。

 音楽をやる人を対象にした「マエストロ、私をスキーに連れてって」キャンプには、もっともっといろんな可能性があるし、いろんなバリエーションが考えられる。もう僕たちは、来年度の話をしているし、日程の調整にも入っている。今年、残念ながら来れなかった方も、この記事を読んで興味を持ち始めた方も、どうか来年には申し込んで下さい。

 それと、来年は、初級、中級、上級と、あらかじめ3班に分けるし、人数によってはいくらでもインストラクターを補充できるので、その各クラスをさらに分けることも可能なので、あらかじめ参加人数を無制限にする予定。
 驚くことに、フリースタイル・アカデミーのインストラクターは誰もみんな優秀で、超初心者の飯田みち代さんたちのグループも、2日目には、ボーゲンながらきちんと重心移動が出来てきれいなターンをしていたし、レギュラー・クラスは美しいパラレルに、アドヴァンスト・クラスはコブに直結出来るウェーデルン(ショート・ターン)に辿り着いた。
 クラスのネーミングについては、来年は、誰かが提案していたけれど、たとえばLento Andante Allegroとか、あるいは、初級をAndanteでもいいな。Andante Allegro Prestoとか音楽用語を使おうか。

 とにかく、来てくれた方達は、みんな笑顔で帰って行ったので、これからしばらくは毎年続けます。10月くらいに具体的な案内を出しますし、日程については、決定した時点でもうこの「今日この頃」でお知らせしておきます。みなさん、是非御参加下さい。


全員集合

番外編
 キャンプを実施している8日と9日は、4歳の孫の杏樹も、子どものグループ・レッスンなどで慣れているベテラン女性の吉田インストラクターに個人レッスンをお願いしていた。それも、両日とも、キャンプとほぼ同じ時間帯での午前及び午後のレッスンと、レストラン風舎での昼食とレッスン後のミーティングに参加することになっていた。


杏樹をやさしく見守るメンバー達

 お願いしておきながらこういうのもなんだが、正直言って、杏樹がこれを全てこなすのは不可能なのでは、と思っていた。しかし意外や意外、しっかりレッスンして、2日目には、どんどんゲレンデを一人で滑り、スピード・コントロールもターンも自由自在に出来るようになった。いやあ、子どもって凄いね!

 普通、ボーゲンでターンを教える場合、曲がる方向と逆の足に、重心を交互に乗せる練習をするものだが、吉田先生は子どものことをよく知っている。そんなことは一言も言わずに、
「ほら、こっちへおいで!」
と言うだけで、なんと杏樹は見事に吉田先生の方へターンするのだ。杏樹は本能的に、どうすれば思うままの方向に行くか知っているのだ。子どもに言葉を教えるのに文法など要らないのと一緒だ。それを知っている先生は凄い!やはり餅は餅屋。それがプロというものなのだね。

 キャンプが終わって、僕は、普通に杏樹と一緒にとおみゲレンデを滑った。一緒にリフトに乗り、また一緒に滑る。なんだか夢のよう。次のシーズンでは、最初からみんなでリフトに乗り、当然のことのように娘達と、そして杏樹も共に滑るのだ。とっても楽しみ!


杏樹ゲレンデ自由自在

シーズン最後の修行
 さて、これを書いているのは、3月11日日曜日の夜。実は明日の12日月曜日から16日金曜日まで、僕はまたまた白馬に行く。だから今晩は、いつもより一日早く原稿を仕上げている。
 今度の白馬では、ひとりで外界を離れて籠もって、シーズン最後のスキー三昧の日々を送る。同時に「ジークフリート」のスコアをカバンに入れ、スキーをしていない時には、スコアと首っ引きになる。つまり、自分としては修行の日々となるのだ。

 それが終わると、夏に向けていろいろ本番があるので、その準備にかからなければならない。夢のようなスキーの日々の終焉は、もう秒読みに入っているのだ。そして、長い夏の間、僕は再び次のシーズンを恋い焦がれることになるのだ。




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