キャンプ無事終了~ありがとうございました!

三澤洋史

写真 三澤洋史のプロフィール写真 4月になりました
 元号も令和(れいわ)と決まり、桜も咲き誇り、楽しかった連続テレビ小説「まんぷく」も終了して、広瀬すず主演の新しいドラマ「なつぞら」が始まった。孫の杏樹は、今日から保育園もいよいよ年長の「ひまわり組」となって、進級式を終えて帰って来た。昨日と今日の間になんら特別な変化もないはずなのに、違う大気が流れているような気がする。

 我が家では、今晩は杏樹の進級お祝いパーティー。水曜日から白馬に行き、木金と泊まって帰って来たと思ったら、土日を浜松バッハ研究会最後の集中稽古をした僕とすると、今日はやっと自宅でリラックス出来た。リラックスし過ぎて1時間半もお昼寝してしまった。

さあ、夏にいろいろ催し物があるので、これからエンジンを吹かして頑張るぞう!

バッハとベートーヴェンとの接点
 「バッハは小川(Bach)ではなく大海だ」と言ったのはベートーヴェンである。ベートーヴェンは、生涯に渡ってバッハを尊敬していた。そのベートーヴェンを尊敬していたブラームスは、ベートーヴェンを通してバッハ音楽の神髄に触れ、交響曲第4番の終楽章をバッハ風のシャコンヌで彩った。
 ワーグナーが第九をことのほか崇拝していたことは有名である。そのワーグナーがバッハも愛していたことは意外と知られていないが、楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の対位法には、バッハへの想いがあますことなく表現されている。
 このように後世の作曲家達は、ベートーヴェンを通してバッハを知り、バッハ~ベートーヴェンという稜線から創作の方法論を学んでいた。だから、バッハをレパートリーの中心に置く浜松バッハ研究会が、バッハとベートーヴェンとを結ぶ演奏会を開くことは、一度通るべき道だと思っていた。

 しかしながら、ベートーヴェンを浜松バッハ研究会が演奏するということは、思ったほど簡単ではなかった。ベートーヴェンの語法はロマン派を指向している。だから、バッハを専門に演奏しているこの団体が、あまりロマン派的歌唱に引きずられてしまったら、バッハ演奏に支障が出てしまう。しかしながら、あまりにバッハ寄りに演奏してしまうと、ベートーヴェンの豊かな管弦楽の陰に埋もれてしまう。

 今回の演奏会では、バッハ作曲カンタータ第182番「天の王よあなたをお迎えします」BWV182と、モテット第2番「聖霊は弱い私たちを助け起こしてくださる」BWV226、そしてメイン・プログラムとしてバートーヴェン作曲、ミサ曲ハ長調、作品86だ。
 特にベートーヴェンは、通常聴かれているサウンドとちょっと異なるかも知れない。たとえれば、蕎麦屋のカレーだ。カレー屋のカレーとは違うけれど、独特の味わいがあるぞう。

 このサウンドで統一すれば、この演奏会は、バッハがベートーヴェンの創作に影響を与えていく一貫した流れを聴衆に感じさせることが出来る。そのために、合唱に対してもオーケストラに対しても、いつもより厳しくサウンド構築にこだわって稽古をつけてきた。手前味噌になるけれど、ある種の職人技を是非見て下さい。

4月7日アクトシティ浜松中ホール、15時開演です。

キャンプ無事終了~ありがとうございました!
 3月28日木曜日&29日金曜日に行われた「マエストロ、私をスキーに連れてって」Cキャンプをもって、今シーズンの3回に渡った「音楽に携わる人のためのスキー・キャンプ」が全て終了した。感無量である。


懇親会


 特に今回やって感じたことがある。それは、とっても当たり前のことだけれど、キャンプって楽しい、ということである。僕はこれまで、スキーをするのは基本的にひとりであって、家族をのぞいて「人と一緒に滑る」ということにはあまり興味がなかった。でも、スキーを通して誰かと喜びを共有するというのはことのほか楽しいものだなあ、としみじみ思った。これは他のスポーツではなかなか味わえないことではないだろうか。


ビデオ・ミーティング


トレインとアンサンブル
 たとえば、ひとりでは絶対に出来ないことにトレインがある。トレインとは、みんなで列を作って同じトレースを滑っていくこと。なるべくお互いの間隔をあけないで、まさに列車trainのように連なって滑っていく。世界中のキャンプで、上級者ほどこのトレインを多用するそうであるが、やってみるとトレインから学ぶことがとても多い。
 先頭で滑る者にとっては、後に続く人たちを思いやることが求められるし、後ろからついて行く者にとっては、前を行く人の滑りから(反面教師の意味も含めて)学ぶことが無限にある。
 ひとりだったら、スピードもターン弧の大きさも勝手でいいのであるが、他人にピタッと合わせるためには、思った以上のコントロール能力が求められる。これが、オーケストラのアンサンブルやコーラスと共通して、ひとりだけでは得られないレベルの進歩をもたらしてくれる。というか、単純にアンサンブルの喜びがあるよね。

Cキャンプ
 Cキャンプは、年度末の平日ということもあって、なかなか参加者が集まらず、僕は、忙しい時期にわざわざスケジュールを空けてくれた角皆優人君に悪くて、気弱になって、
「キャンプという形はやめて通常のグループ・レッスンの扱いにしようか?講演や懇親会もやめようか?」
などど彼に持ちかけたが、むしろ彼の方が頑として譲らず、
「三澤君、心配しないで、初級と中級に絞ってやろう。講師も僕と美穂(奥様)だけでやったら費用はかからないし、(クラシック音楽の大好きな元モーグル選手)松山さんは、三澤君が来るなら喜んでただ働きも辞さない覚悟で来てくれるから大丈夫だよ」
と言ってくれたので、悪いなあと思いながら内心ほっとした。そこで、懇親会だけは3000円の会費というのをやめて飲み物を実費ということにして、それ以外はビデオ撮影も含めて従来通りのキャンプを実施した。
 その後さらに、名古屋在住のソプラノ歌手の飯田みち代さんが体調を崩してキャンセルとなってしまって1人減り、参加者は結果的に、スキー指導員の資格を持っていて現在新国立劇場合唱団員であるバリトンの小林宏規君と、先日の新人オーディションで新国立劇場合唱団に受かったばかりの若きバス歌手の佐藤哲朗君、それに今期の3回のキャンプ全てに参加のTさんの3名となった。それに我が家の妻と長女の志保と孫の杏樹が加わった。
 佐藤君はほぼ初心者なので、初日は美穂さんが佐藤君と妻との初級班を担当。残りの小林君とTさんに志保と僕が加わった中級班を角皆君が担当。杏樹は別料金で、松山さんに個人レッスンをお願いした。

 レッスンが始まると角皆君はさすがで、様々なドリルを行う中で、異なったレベルの受講者に対し、それぞれに沿った課題と問題意識とを与え、焦らせることも物足りなく思わせることもなく見事にレッスンを進めていく。
 2日目は、美穂さんが佐藤君を個人で見ることとなり、妻と杏樹を松山さんが担当したが、杏樹はおっかなびっくりな妻とは対照的にスピード狂で、妻が一度ゲレンデを降りる間に2度滑っているし、松山さんのサジェスチョンなど聞いてはいない。なので、なかなかレッスンらしい状態にならない。それどころか杏樹ったら、僕たち中級班を発見すると一緒についてきて平気で混じっている。


講演会角皆


 そこで途中から予定変更。杏樹を僕たちの中級班に入れることにした。とはいっても、ドリルとは関係なく徹頭徹尾プルークボーゲンで一緒に付いて来るだけ。ところがね、角皆君ったら、なんと大胆なことに、アルプス平のてっぺんのグランプリ・コースから、今やコブだらけになっているチャンピオン・ダイナミック・コースに降りて、下山コースの狭いウッディ・コースを通過して、とおみゲレンデ上部まで、レッスンし続けながら降りてきたのだ。
 特にチェンピオン・ダイナミック・コースは、オトナでも恐いところ。しかし杏樹は、
「わあっ、街が下に見える!」
と言って、いっこうに恐がる様子はない。転ぶことなく、ごくごくフツーに降りてきた。スゲエな、子どもって!

 小林君は、指導員の資格を持っているくらいだから、中級班では退屈かなと当初心配していたが、
「いやあ、楽しい!本当に楽しい!」
の連発で、とっても喜んでくれたので、僕とするとホッと胸をなで下ろした。これも角皆君がきちんと基礎を指導してくれたお陰だ。つまり、基礎に精通する者は上級まで精通するのだ。基礎を矯正することで上級の技も自然に直るというわけだ。その辺がスキーの奥深さだな。

 一日目の講演会も手を抜くことなく行ったし、懇親会は、AキャンプにもBキャンプにもないアットホームな雰囲気で、みんなリラックスして楽しめた。


講演会三澤


ありがとう!
 こんな風に、ABCそれぞれが、かけがえのない一期一会のキャンプとなった。Aキャンプ及びCキャンプでは、特にプロの音楽家が、すごく良い意味でのめり込んでくれて、音楽との接点を自ら求めてくれたし、Bキャンプでは、懇親会は盛大なパーティになり、上級班から初心者班まで、きめ細かい充実したレッスンが行われた。
 このキャンプは、講師陣も参加者も、みんなで作り上げた素晴らしいもの。でも、僕とすると、来シーズンは、もっともっといろいろ吟味し、改善点を探しながら、より良いキャンプにしていきたいと思っている。

みなさん、本当にありがとう!
Ski Heil!(シーハイル!)


シーハイル!


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© HIROFUMI MISAWA