Bayreuth 2001

三澤洋史 

写真 三澤洋史のプロフィール写真

8月20日(月)
 今日は伴奏あわせして一度家に帰ってきてちょっと勉強した後、家で作る自分の味にも飽きてきたので、街の真ん中にあるチャイナ・タウンという中華料理屋に一人で自転車をこいで食べに行ってきた。

 チャイナ・タウンのあたりは夜になるととてもロマンチック。街灯がうるんだように人通りの少なくなった石畳の道を照らしている。街はほの暗く沈んでいる。向こう側にはオレンジ色の光でライトアップされた聖三位一体教会が夜空にそびえ建っている。どこかでこんな光景を見たぞ、と思い出していたら、ライプツィヒの夜のニコライ教会のあたりの雰囲気に似ている。
 レストランに入っていくと、マスターがにこにこ笑って出迎えてくれた。まるで常連客のような扱いだね。そんなにしょっちゅう来ているわけでもないんだけれど。
マスターの奥さんは、
「珍しいわね、一人なんて。」
ってわざわざ言いに来た。確かにここに来る時はいつも大勢で、一人で来たのは初めてだよ。7月の終わりに日本人がみんな揃ってパーティーをやった時も、僕が幹事になってここを予約しに来たっけ。
 ここのあひるがおいしい。ドイツ語で、Pa Pao Ente knusprigと言う。Knusprigとはパリパリと香ばしいっていう意味だ。その名の通りあひるの皮がパリパリと香ばしくてだーい好き!
 黒ビールを飲みながらお腹いっぱい食べて勘定を払おうとしたら、奥さんがデザートを持って来てくれた。サービスだって。メロンとライチだ。わ~い!嬉しい。
 ほどよく酔いが回ってきたので、ゆっくりゆっくり自転車のペダルをこいで、夜の街角を見回しながら帰ってきた。

 う~ん、いいなあ、こんな生活。日本に帰ったらこんな風には絶対にいかないね。
明日はいよいよクリニクム(バイロイト病院)演奏会。祝祭合唱団のメンバーがそれぞれソロやアンサンブルをして、僕がピアノ伴奏をする。毎年の事だけどやっぱりなんか緊張するなあ。



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