Bayreuth 2001

三澤洋史 

写真 三澤洋史のプロフィール写真

8月26日(日)
 まだ肌寒い空気の中、朝日を受けて自転車を飛ばしてバイロイト中央駅に向かう。頬に当たる風がさわやか!
 8時7分発の電車に乗ってニュルンベルクには早くも9時過ぎに着いた。日曜日の朝だから、いつもは人と車でごったがえしている駅周辺は嘘のように静まり返っている。旅行ガイドを見ながら旧市街めざして歩き始める。僕は駅周辺しか知らない。

 おお、結構いい街なんだ。ちょっとエアフルトのような川が街の真ん中を流れている。それを過ぎると坂がいたるところにあって、その坂と狭い路地裏の組み合わせが石畳の旧市街をとても風情のあるものにしている。今までどうして知らなかったんだろう。いいところ!すぐ近くにあったのに。
 セーバルド教会に辿り着いた。なになに?礼拝は8時半と10時って書いてある。少し時間があるのでまたその辺を散歩しよう。

 で、10時になった。教会に入っていくとおばさんが聖歌集と紙切れを配っている。見ると今日のオルガニストはSusanne Hartwich-Düfel と書いてある。あちゃーっ!ハズレ。ヤコブさんには会えなかった。
 この女性オルガニスト、とても上手だった。礼拝の初めにバッハの前奏曲とフーガの前奏曲の部分だけを演奏して、一番おしまいの客の追い出し音楽にフーガの部分を演奏した。あまり上手だったから誰も帰らなかったよ。それともここではもしかしたらそれが伝統なのかもしれないけど。

 最近オルガニストの上手、下手がだいぶ分かってきた。キーは鍵盤の踏み込み方だ。きっと、とても気力と体力が要るんだと思う。それとリズム感とテンポ感。例の低音のタイミングもバッチシだった。とても才能のある人だよ。
 あんまり良かったので話をしに行った。ここの教会のオルガンは二階ではなくて祭壇の横にあるので行き易いんだ。それで彼女に、いつも誰かに聞こうと思っていたことを聞いた。
「聖歌の前の派手な前奏はみんなどうしているの?」
って聞いたら、
「今日の聖歌に関しては全部即興演奏だったわ。譜面に書く人は多いけれど、あたしはいつも即興でやるの。それが本当だと思うわ」
「へええ、凄いんだね」
とにかく自分で作るんだね。そういうものなんだってさ、ドイツでは。

 ゼーバルド教会の礼拝のあと、すぐ近くの聖母教会(カトリック)をのぞいたらミサをやってたので少し入って参加した。ここでもいいオルガンが入っている。聖体拝領までいたら遅くなるので、途中で出てお昼食べに行った。あ、不謹慎だな。こっちがカトリックだから本当なのに・・・・。

 市庁舎広場でニュルンベルク風焼きソーセージを食べてから、12時44分の電車に乗って帰ってきた。あ~あ、ビール飲みたかったけど仕事があるのでミネラル・ウォーターで我慢した。バッハがまだ頭に残っている。
オルガンの製作者はケルンのウィリー・ペーターという。


バイロイト~ニュルンベルク
(画像クリックでGoogleMap表示)

 ニュルンベルクから帰って来て一休みした後、今日は最後の「ローエングリン」の日なので久し振りに祝祭劇場に行った。オリーとは仲直りした。



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