つかの間の静養週間
先週は、久しぶりにゆったりと過ごした一週間であった。まあ、ゆったりといっても、水曜日には東京バロック・スコラーズがの練習があり、その他、知人を食事にご招待したり、イタリア語のレッスンに行ったり、全くオフという日はなかったのだが、とにかく、それまでの息つく暇もない日々から解放されて、今週から始まる“新国立劇場にサラリーマンのように通う日々”までの、つかの間の静養週間となった。
この期間中には、自転車をあさひ自転車に直しに行ったり、CD棚を整理したり、後で書くがパソコンと戯れたりしていた。CD棚は、作曲家の時代順に並んでいるのだが、最近買ったCDが合間に入らなかったので、全体をズラしてそれらを入れて、さらにこれからのことを考えて、項目毎に遊びのスペースを取った。そうしたら、残りのCDが棚に入りきらなくなって溢れてしまった・・・どうしよう・・・。
火曜日には、僕ら夫婦、長女の志保とその娘の杏樹、それに次女の杏奈が加わって、家族で勝沼に行った。
最も好きなオペラを二つ挙げてみろと言われたら、迷わず、ワーグナー作曲「パルジファル」と、モーツァルト作曲「魔笛」を挙げる。ほらね、もう一般の案内所と違うでしょ。この二つの作品の共通点は、“天才作曲家が円熟の極みにおいて見せた簡素化”である。これを読んで、この先を読みたいと思ったあなたは、すぐに最寄りの本屋さんに行ってね。この新しい章は、立ち読み出来ない量ではないのだけれど、700円だから姑息に立ち読みなんかしないで、買って下さいね。
オペラ座のお仕事文庫本
スイミングの科学
親友の角皆優人君が、松田仁美さん、高橋大和さんと共著で「スイミングの科学」(洋泉社MOOK)という本を出した。読んでみて、
「なるほどこれは科学だ」
と思った(笑)。
つまり、結構理屈っぽい。だから、
「とにかく、ドンドン泳いでいるうちに、自然に上手くなるさ」
というタイプの人には向かないだろうな。
でも、僕のような熟年以降の人間や、水泳そのものを冷静に見つめてみようと思うようなタイプの人間には、素晴らしいアドヴァイス満載の本だ。なんてったって「科学」というタイトルがついている本なのだから。
実は、僕は角皆君からこの本のための原稿執筆を7月いっぱいの締め切りで頼まれていた。しかしながら、すでにこの「今日この頃」では有名になっている(笑)例の“魔の7月”の様々な事件のためにパニックに陥っていた僕には、原稿を書く余裕すら生まれず、結局角皆君に謝って執筆を断念してしまったのだ。まあ、出来上がった本を読んでみると、こんな立派な本に、僕のようなヘタッピイなド素人が、くだらない記事を書かなくてよかった。そんなレベルの本ではないのだ。
スイミングの科学
Wish復活・・・でも
今、僕の新パソコンSperanzaの裏側にはWishがある。あれ?Wishって駄目になったのでは?と思われるが、駄目になったのはWindows XPが入っていたCドライブのハードディスクだけ。
これが(寿命と思われるが)クラッシュしてしまったので、そこに保存していたWindows XPを含む全てのアプリやファイルは共に轟沈。ところがね、冷静に考えてみたら、それ以外のパーツは全て正常に動いていたわけ。Wishの中にはもうひとつのハードディスクが入っていて、データ保管用にしていたから、最悪の事態は逃れられたのだが、まあ、メールの送受信と連絡帳、それにスケジュール表がなくなっただけで、もう充分パニックになる理由はあった。
最初はOSが入っているハードディスクを一度でも起動できれば、スケジュール表などが救出出来ると思って、「お願い!」って感じで必死に復旧作業をしていた。でもそれが無理だと分かった時点で、僕は絶望に打ちひしがれながら、もうひとつのデータ保管用ハードディスクにアクセス出来ることを最優先した。
それで、試しに以前妻が使っていたハードディスクをつないでみた。マザーボードが故障して使えなくなったもので、Windows XPが入っていた。ただマザーボードのメーカーもタイプも違うので、XPすら起動しない可能性が大だった。幸運なことにXPは立ち上がってくれた。あの時は感動で胸が打ち震えたねえ。とにかく保存していたファイルが開けるんだもの。
ただ、やはり予想していた通り、LANコネクターを含むいくつかのデバイスがうまく機能しなかった。最大の痛手は、インターネットにもつなげないパソコンだったこと。これでは、折角譜面作成ソフトFinaleをインストールしても、インターネットによる認証が出来ない。認証取得出来なければFinaleは使えない。
さらに、ネットにつなげないのでは、マザーボードのドライバをネット上からダウンロードすることも出来ない。とにかく、このパソコンではにっちもさっちもいかなかったので、その場しのぎで買った中古ノート・パソコンでスコアの作成を進めたというわけである。そして、ネットにつなげない旧Wishは、ただSDカードやUSBインターフェースを使って古いファイルを取り出すためにだけ使われたのである。
さて、「ナディーヌ」公演も無事に終わり、新しいパソコンSperanzaも順調に動いているある日、僕はふと思い立って、どうせ駄目になってもいいWishに、当てずっぽうにドライバを入れてみようかと思い立った。そして、家に残っているGIGABITEのマザーボード用ドライバCD-ROM(母親の分や自分の分や妻の分などいくつもある)をWishに入れてみた。すると2つめのCD-ROMが偶然にヒットし、ネットにもつながり、以前同様のXPパソコンとなった。
そうなると・・・僕ちゃんの目がキラリンと光っちゃうんだな。もしかすると、このスペックでは、Windows 8以降は無理かも知れないけれど、ひょっとして7くらいだったらインストールしても動くんじゃねーの?ほんじゃあ、このXPが入っているハードディスクをフォーマットして新しくWindows 7を入れちゃったら、性能はともかく、Speranzaと同じWindows 7パソコンがもうひとつ出来るってこと?だって今更XPパソコンが復旧してもあまり嬉しくないもの。
で、気がついてみたら、僕は秋葉原の街を歩いていた。いつも「ナディーヌ」の練習で通っていた昌平童夢館のすぐ近くには、小さいちょっと怪しげなPCパーツ店が建ち並んでいる。僕は、練習の前とかにそれらの店に入って、いろいろ伺っていたんだ。Windows 7が数千円で売られていたのも知っていた。ところがね、今回行ってみてさらに驚いた。それが3千円台に値下げしていたのだ!しかもWindows 7 Professionalだ!恐らく、Windows 10が出てさらに型落ち感が広がったのだろう。
僕は迷うことなく買ってきた。さあ、インストールするぞう!しかし目の前のWishをしみじみ眺めながら、正直言って僕の心の中には、これがあんまり成功に終わって欲しくないなあ、という気持ちも同居していた。Windows 7のインストールの途中で、
「このOSをインストールするには、このパソコンのスペックが追いついていません」
とか出てくれれば、
「ああ、やっぱり10年前には最先端だったこのマシーンも、今やポンコツなのね」
と諦めもつこうが、そんな願いもむなしく、ごくごく当たり前のようにインストールは完了した。
驚いたことに、Windows 7が立ち上がった時点で、もうインターネットが通じていた。恐らく7そのものの中に、マザーボードの型を問わずLANインターフェースに対応するドライバが組み込まれているに違いない。それでも念のためにマザーボード用CD-ROMからドライバを入れたけどね。
バンザーイ!素晴らしいWindows 7パソコンがもうひとつ誕生したぞ!だが・・・まてよ・・・ということは・・・結果的に言うとSperanzaは必要なかったってこと?しかもSperanzaはWindows 7 Home PremiumでWishはProfessional。つまりWishの方が全然安いのに格が上!秋葉原Sofmapで正規版を高い値段を出して胸張って買おうが、小さく怪しい店で、どこか後ろめたさを感じながら安く買おうが、パソコンに入れてしまえば皆同じ。まあ、Speranzaの方は64ビット版という違いはあるのだけれどね。
いやいや・・・Speranzaを自作するプロセスがなければ、ここまでたどり着けなかった事は事実なのだ。だって、SperanzaでWindows 10を実際に使ってみて、それがいかに様々な問題を含んでいるか分かったから、あえて7に踏み切ったわけだからね。その過程を経なければ、僕の中にXPを使い続けるある種のマイノリティ感覚と、最新OSに対する密かなあこがれは払拭出来なかったであろう。
こんな風にいろいろ悩んだ末に7という究極の落とし処を見いだしたのだ・・・あはははは!・・・まあ・・・僕の手元には、今や無用の長物となったWindows 10のDVD-ROMがあるのだ。うわっははははは!多大なる犠牲を払って、この認識に至ったのだ。この学習代は痛かった。トホホホ・・・。
いやいや、これからだ。これから何か行う毎に、ニュー・マシーンの威力を体感することになるのだ。僕は、Speranzaの優位性を少しでも強調するために、LEDで青く発光するケース・ファンを買ってきて、ケースの後ろ側に取り付けた。これが僕の仕事場。美しい純白のケースとブルーのコンビネーションが次世代ハイクォリティ・パソコンの香りを放っている!どうだい、これでなくちゃあ!
青いSperanza