つかの間の休息週間

三澤洋史 

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つかの間の休息週間
 6月18日日曜日。浜松バッハ研究会の演奏会から夜遅く帰ってきた。次の日の19日月曜日。さすがに早朝散歩には起きれなかった。モーツァルトの「レクィエム」をメイン・プログラムとする演奏会は、「ワルキューレ」よりは体力的にずっと楽である。勿論、本番は本番なのだから、精神的な集中度からくる心理的疲労度はあるのだが、指揮の過剰な筋肉運動からくるグッタリとした疲労感はない。だから、
「少し寝坊をすれば、すぐ元に戻るさ」
とたかをくくっていた。

 しかし、起きてからもなんとなく体調がすぐれない。目がしょぼしょぼするし、あまり何かをやる気が起きない。うーん、これは浜松の演奏会の疲れだけではないな。きっと、ここのところの怒濤の日々の疲れが背後にたまっているらしい。昨日までは、体も意識も戦闘態勢に入っていたから大丈夫だったのだが、本当はそろそろ肉体が休みたがっていたのだな。それで、その日は晩に高崎の「おにころ」練習に行くはずだったのだけれどやめた。

 というわけで、久し振りにオフ日となった。「今日この頃」の更新原稿は、旅の間に書いていたものに浜松の演奏会の記事などを加え、見直して出した。それ以外はゆったりと過ごそうと思った。とはいえ、旅の間にたまっていたメールの返事や、ちょっとした調べ物が沢山たまっている。午前中、そんな風に過ごしていたら、今度は肩が張ってきた。
 その肩をホグしたくなってきた。そんな時みなさんならどうしますか?近くに湯楽(ゆら)の里という温泉施設があるのも頭に浮かんだが、僕はそこではなく・・・府中の生涯学習センターに泳ぎに行った。なんで?疲れているのでしょう、と思うだろう。でもね、ゆったりと泳ぐと、かえって局部的な筋肉の凝りは広範囲に散らされて楽になるのだ。何事もリラックスした気持ちでやるとリラックスするのだ。

 そんな月曜日から始まった先週は、久し振りにスケジュール表にところどころ空きが見られたので、ゆったりと過ごそうと思ったのだが、そんな時に限って、数日経つ間に、喉がイガイガしてきたと思ったら、ちょっと咳が出てきて、さらに声が枯れてきた。
 僕は、一度体調が万全でないと気付くと、ただちに酒を断ち、蜂蜜レモン湯を飲んだり、睡眠時間をたっぷりとったりと、体のリカバリーのためのあらゆる努力をする。今回もそうで、しばらくお酒を飲んでいない。うーん、だから、自分からすすんでゆったりしたという感じでないので、なんとなく損した気分。
 でも、考えてみると、体調が良いと、貧乏性の僕はゆったりなんて過ごさないんだ。それどころかガシガシと過ごしてしまうから、結果的にはこの時期はこれで良かったのかも知れない・・・。

 別にその週は暇だったわけではない。19日火曜日には、モーツァルト200合唱団の練習のために、再び名古屋へ日帰りトンボ返りした。水曜日及び木曜日は、高校生のための鑑賞教室「蝶々夫人」の主役二人(小林厚子さんと小原啓楼さん)のコレペティ稽古を行った。金曜日の10時は、仕事はオフだが、イタリア語レッスンに2週間ぶりに行く。24日土曜日は、朝から東京バロック・スコラーズの練習。
 そして25日日曜日は、むしろ多忙だった。東京カテドラル関口教会に久し振りに行って、早朝8時と10時のミサを指揮し、そのまま聖歌隊の練習。12時半過ぎに教会を出て、大宮からの新幹線でお弁当を食べながら高崎まで行く。高崎中央公民館に2時半頃着いて「おにころ」の練習を7時頃までつけた。子役達が来ていたから、こちらから「やる気」の風を送らなければならなかった。

 こうやって書き出してみると、充分忙しかったかもね。それでも、仕事している以外の時間は、自分でコントロールをして、霊的な光量を落とすというのか、オーラを消すというのか、スリープ状態で過ごしたので、一週間でかなりエネルギーが戻ってきた。咳も取れ、体調は万全。これでまた、次の一ヶ月を乗り切る勇気が湧いてきた。

 今日(26日月曜日)から、高校生のための鑑賞教室「蝶々夫人」の立ち稽古が始まった。今回は合唱指揮者だけではなく公演指揮者でもある。新国立劇場の舞台で東京フィルハーモニー交響楽団と共に、7月10日月曜日から15日土曜日まで、6日間ぶっ続けで「蝶々夫人」公演を指揮する。
 それが終わると、自作ミュージカル「おにころ」の練習が佳境に入ってくる。本番は7月30日日曜日、群馬音楽センター。オーケストラは群馬交響楽団。もう一度、エンジンを全開にして勝負を賭けなければならない時が近づいている。

 今日の記事は短いですが、これからまた頑張ります。みなさん、どうか応援して下さい。



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