「教会で聴くクリスマス・オラトリオ」Youtube配信へ

三澤洋史 

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「教会で聴くクリスマス・オラトリオ」Youtube配信へ
 12月19日土曜日。東京バロック・スコラーズ(TBS)のメンバー達は、日本キリスト教団の田園江田教会の聖堂に集まり、我々が「ミニクリオラ」と呼んでいる「教会で行うクリスマス・オラトリオ」の録画を行った。

 僕は、TBSを作った時から、「教会で聴くクリスマス・オラトリオ」演奏会の実現を強く望んでいた。何故なら、ドイツ国内においては、我が国の第九のような位置づけで、毎年クリスマスの時期になると、各教会で盛んにバッハ作曲「クリスマス・オラトリオ」が演奏されるのを知っていたからである。

 僕がかつて、名古屋バッハ・アンサンブルコールを率いて、シュトゥットガルトやベルリンで「クリスマス・オラトリオ」演奏旅行を行った際、ベルリンの地元の人が語ったことによりと、その冬、ベルリンの街では、なんと60回ものクリスマス・オラトリオ演奏会が開かれたということだ。
 しかも、それはみなそれぞれの教会でなのだ。このように、ドイツではホールと教会との棲み分けが明確に行われていることを僕はその時知った。それ以来僕は、我が国のように、なんでもホールで行う風習に一線を画して、「教会で」この曲を演奏したいという想いを募らせていたのである。
 そこでTBSでは、創立してから間もなく、池袋の東京芸術劇場で、昼夜に分けた「クリスマス・オラトリオ」全曲演奏会を行い、それを踏まえてほぼ毎年、どこかの教会で「ミニクリオラ」演奏会を行ってきた。全体を1時間ちょっとの休憩を置かない長さに抜粋し、僕の語りをはさみながら、初めての人にも分かり易い内容にまとめた。

 しかし、今年は新型コロナ・ウイルスの感染拡大のため、聴衆を入れての演奏会が難しいため、録画してYoutube配信することに決めた。逆に言うと、そのことによって、映像で多くの人々に拡散できることになった。
 ただいま団内スタッフが必死で編集中で、なんとかクリスマス・イヴまでにみなさんにお届け出来ると思うので、どうか東京バロック・スコラーズのホームページ、あるいはこのCafe MDRのホームページを注意して覗いてみてください。

 このコロナ禍にあって、合唱団は飛沫を飛ばすために、一番苦しい立場に追い込まれている。しかしその中にあって、TBSの活動は、他の団体への見本となるほどに素晴らしい。練習は中断せずに行っているし、毎回の練習はZoomで配信され、休んでいる人たちはそれをしっかり活用している。もちろん練習中のソーシャル・ディスタンスはしっかり守っているし、休憩中も気をつけている。
 そして、その状態を維持しながら、Rinascerò,rinasceraiのYoutube録画及び配信を成功させ、この「教会で聴くクリスマス・オラトリオ」も成し遂げた。さらに来年の武蔵野市民文化会館における「巨匠の創作の足跡~バッハとパロディ パート2」演奏会の準備を進めている。





 団員達の歌唱力もさることながら、それぞれの持ち場でのスタッフ達の意識や能力がとても高い。そしてなにより、僕がこの団体で何をめざしているか、何を目的としているか、ということを理解してくれている。僕は、この団体を心から誇りに思っている。みんな、ありがとう!これからもよろしくね。

愛知祝祭管弦楽団とおにころ合唱団
 12月19日は、「ミニクリオラ」収録が終わってから名古屋に飛び、20日日曜日は愛知祝祭管弦楽団の練習。刈谷市総合文化センターの中のリハ室は、定員50名のため、弦楽器の分奏にしようかという意見もあったが、やや人数を絞っての練習となった。
 TBSもそうだけれど、コロナ禍において練習を継続するためには、どの団体もそれなりの困難を抱えることになるが、それだけに、続けている団体にはある共通する要素がある。それは情熱である。

 茅野での飛沫実験に立ち会った際、亀田病院集中治療科部長である林淑朗先生は、こうおっしゃった。
「このコロナ禍において、活動をする場合、ゼロリスクというのはあり得ないです。でも、新国立劇場合唱団のようなプロというのは、そもそもそれに命を賭けているわけだから、場合によっては感染のリスクを負いながらも、どうやったら自分の職務を遂行できるか考えるわけですよね。それは、こちら(医療従事者)も同じなのです。それが良く分かるから、私もお手伝いを喜んでさせていただいているわけなのです」
 むしろ林先生達の危険性はこちらのレベルではない。コロナの患者に直接向かい合って治療するわけだから、本当は誰だって嫌に決まっているし、家族だったら絶対に反対したいでしょう。でも、誰かがやらなければいけない。だから、感染の可能性がゼロでなくとも、あえてやる。それがプロだと、林先生は言っているのだ。
 新国立劇場合唱団でも、感染が怖くて公演に乗るのを辞退した人は誰もいない。辞退しても別に責めないけれど、やはりそれが職業だからという意識は強い。でも、アマチュアの場合は、自分で団費を払って参加しているので、来る来ないは自由である。逆に、それなのにあえて参加する人は凄いなと思う。

 情熱は、高崎からも湧き起こっている。「おにころ合唱団」の練習参加率は、毎回90パーセントをゆうに超えている。今週末の26日土曜日は、朝のTBSの最終練習に続いて、夜の「おにころ」練習があるが、毎回熱い熱気がこちらに伝わってくる。

良いお年を
 ペンションのカーサビアンカは、白馬を引き払って別の土地に移転すると言っていたのだけれど、コロナ禍でそれが叶わず、そのまま白馬で営業を続けている。
マスターの大野さんから、
「GO TOを使えば安くなるから、年末に来ませんか」
と誘われていて、
「今年は、夏過ぎまで全く稼いでなかったので、うーん・・・・」
と返事していたのだが、秋になってきたらどうしてもスキーが待ち遠しくなってきたため、
「やっぱり行くよ!」
と決心して返事をした。そうしたら28日からGO TOがなくなってしまった。とはいっても、もう心は滑る気になっているので、今更やめられない。

 NHK交響楽団の第九演奏会が27日まで入っているので、よりによってGO TOがなくなる28日から2泊で白馬に行ってくる。しかしその後は、群馬には帰らずに、また東京に戻ってくることにした。なので、Zoomレッスンの可能日も増えた。
 昨年は、杏樹がB型インフルエンザにかかったため、やっぱり東京で年末年始を過ごしたので、2年間群馬で過ごさないのはちょっと残念だが、コロナが相手では仕方ない。

 来年は是非、素晴らしい年にしたいと祈っているし、みなさんのためにも祈ります。ということで、28日の更新はお休みにして、次の更新は1月4日を予定しています。

では、みなさん、良いお年を!



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