斉藤洋さんからお返事が来ました!

三澤洋史 

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今すぐ止めてください、こんな無意味な戦争!
 今、ロシアとウクライナの間に起こっている戦争については、きっとプーチンの方にも開戦の理由や言い分はあったであろう。NATOの東方への拡大がロシアへの脅威となったという理由付けに対して、いろいろ調べてみると、たとえば1990年2月9日に、米国のベーカー国務長官がソ連のゴルバチョフ書記長に対して「NATO軍の管轄は1インチも東に拡大しない」と発言したことは事実のようだし、その後、西独のゲンシャー外相やコール首相もソ連を訪れた際に同趣旨の発言をしているという。

 だから「嘘をついた」とプーチンは思っているし、
「ウクライナのNATO加盟がもし実現したら、ロシアにとって脅威となる」
とプーチンが考えたことは理解できなくもない。
 でも考えてみれば分かるけれど、NATOが脅威だといったって、じゃあNATO軍が、何も理由がないのに、ある日突然ロシアの国境を越えて一方的に侵入してきてロシア住民をめちゃめちゃ攻撃してくる可能性ってあるのですか?それって、万にひとつもないでしょう。
 それより、それが脅威だからって、
「じゃあこちらから先に攻めちゃえ!」
って、ロシアが、ひとつの立派な主権国家であるウクライナに侵攻して、罪もない市民も含めたあのような無差別攻撃を行っていい理由にはならないでしょう。あいつ恐いから、こっちから先に攻めよう!って、あんた、子供の喧嘩だってルール違反でしょう。
 それどころか、NATOが本当に脅威かどうか、今回のことでロシアは良く分かったでしょう。あんたたちの方が、あんなめちゃめちゃな攻撃を仕掛け、4ヶ月経ってもなお、NATO軍そのものは何も動いてきませんよ。アメリカなんか、むしろ早々と、戦いが起きても兵は出さないよと宣言していましたよ。

 ロシアはハメられたと言っている人いるよね。西側は、そうやって挑発して、バイデン大統領も、それを見越して参戦拒否の発言をしたと・・・でもね、だったらハメられた方が馬鹿なんだよ。
 しかも数日でキーウを落として、ゼレンスキー大統領は逃げるだろうから、傀儡政権を築いて・・・という甘い見通しが見事に外れて、ズルズルと何ヶ月も何やってんだ?
さらに、
「ロシアはこんなことやっちゃう国なんだ!」
ということで、ロシア自身が近隣諸国にとって“真の脅威”と認識され・・・従って、あろうことか、これまで中立だったフィンランドやスウェーデンがNATOへの加盟を要請するようになってしまった。ヘタにウクライナに手を出したことで、今や周り中NATOだらけじゃないか。なんと間抜けな所業。

 こんな愚かな決断をプーチンはしたんだ。独裁国家というのは、こんなだいそれたことをたったひとりでできちゃうんだ。でもそれによって、一体どれだけの人が日々死んでいるのだ?ウクライナ兵だけじゃない。ロシア兵だって気の毒だ。ひとり死ぬとすると、妻や子供や親や恋人や親友や、どれだけの人が悲しむのだ。

 ヤクザにも「カタギの者には手を出さない」という仁義があるが、ロシアのやっていることは何だ?一般のアパートであろうが、学校であろうが、病院であろうが、無差別に殺戮の限りをつくすし、拷問や強姦や略奪や、やりたい放題のロシア軍は、ならず者のポンコツ野郎だ。おまけに核の脅威までちらつかせている。ここまでくるとNATOが脅威だと言っていたのが笑わせるぜ!

 プーチンは開戦の理由を、ネオナチによるジェノサイドからの救済だと語っていた。その真偽については、かつてNHKも、
「ウクライナのネオナチが親ロシア派の人たちを虐待している」
ということを報じていたという情報がある。むしろ、ウクライナの戦争が始まってから、全てのメディアが意図的にこのことを隠蔽したと、問題にしている人もいるのだ。
 しかし、こんな戦い方をしてしまったら、仮にそこにいくばくかの真実があったとしても、プーチン自体がウクライナ全土を標的に無差別なジェノサイドを行ったことで、自分で自分の大義を否定してしまったではないか。
 実際に戦っているロシア軍の兵士達だって、どうみてもこれが“救済”を目指した戦い方には見えないだろう。キーウへの侵攻は、政権を転覆させるためのものだから、あのような戦略でも分かるが、焦点を東部に移してもなお、同じように街全体を破壊している時点で、兵士達はもう、プロパガンダだという言葉を使う前に、この大義が大嘘つきだとみんな分かってしまっただろう。国民の多くも、さすがに気付いているだろう。
 第一、救済だったら、最初からもっとデリケートに侵攻するだろうし、ウクライナ側にも、ロシア軍の来訪を、
「よく来てくれた!」
と歓迎する人がいたはずでしょう。今は、ウクライナ人全員がロシアを憎んでいるし、親ロシアだった人も敵に回してしまったよ。
 
 この戦争はフェアーではない。ロシアが傍若無人に振る舞っている一方で、ウクライナは、被侵略国としてあくまで紳士でいなければならないのが辛い。ウクライナの戦い方は、基本、防衛なので、国内に攻めてきたロシア軍を追い返すことに限定されている。
 つまり、ウクライナ軍が、ロシア国内に攻めていって戦果をあげるということはできないので、ウクライナ側にはいわゆる“勝利”というものがないのだ。ロシア軍が、時々気紛れのようにキーウにミサイルを撃ち込んで住人を殺害することはできても、ウクライナ軍はロシア国内に気紛れにミサイルを撃ち込むことは許されていないのだ。
 だから弱く見える。東部においても、一進一退を繰り返しているようだが、そもそもロシア軍が攻めて来なければ、ウクライナ軍は何もできない。で、今は、ロシア軍の動きが鈍くなっている。って、ゆーか、要するにロシア軍には、元から、攻める必然性というかモチベーションがないのだ。
 ということはね、早い話、ロシア軍が攻めるのをやめれば、いつだってこの戦争は終わるということだよ。

 プーチンは、たったひとりの決断で、ウクライナ人だけでなくロシア人兵士も含めて、数え切れない人たちを殺し、もっと数え切れない人たちの平和や生活を奪った。ということはプーチンたったひとりの決断で、この戦争はいつでも終わるのだ。

だから、お願い!プライドもなにも捨てて、一刻も早く、こんな無意味な戦争をやめてください!

斉藤洋さんからお返事が来ました!
 6月14日火曜日の朝。家のチャイムが鳴った。また宅配便かと思ってインターホンに出たら、郵便局からで速達だという。妻が受け取りに出て行った。その後ろから僕は、
「もしかしたら斉藤洋さんからだったりして・・・」
と言ったが、ま、そんなハズはないな。第一、早すぎるし・・・・ところが、妻がドアのところで彼女には珍しいほど興奮した声で叫んだ。
「ヒロ、本当だった!斉藤洋さんからよ!」
「え?ウッソ!マジ?」
 急いで封筒を受け取り、開封する。中には、斉藤氏の手書きのお手紙、僕宛に便箋二枚と、杏樹宛に小さい便箋一枚が入っていて、さらに驚くべき事に、同封して送った杏樹の蝶の水彩画の横に、何か書いてある。

 ルドルフ・シリーズの物語の内容から想像するに、斉藤氏は、絶対にユーモアに溢れた優しい人に違いないと思っていたが、まさにお手紙は、それを象徴するような内容だった。
 読んでみた。まず彼は、自分が音楽に対しては無知だと謙遜しながら、
「音楽家の方からお手紙をいただき何事かと驚きましたが、ルートヴィヒやリヒャルトのことではなくルドルフの件でしたので、ほっと安堵した次第であります。」
と、ユーモアを交えて書いておられた。
 それから、ルドルフ・シリーズの続編については、6巻目の原稿がルドルフから自分のところへ全然届かないので、今のところ続編の出版計画はないと断りながらも、
「しかし、それでは孫娘のために作家に手紙を書いたジージの顔も立たぬだろうし、私としましても、高名な音楽家を手ぶらでかえすわけにもいかず、せっかくいただいた蝶の絵ではありますが、この蝶に口上を添えて、描き主のもとにお返ししようと。短いお話しをひとつ考えて書き添えたわけでありますので、杏樹様におわたしねがえればと思います」
と書いてある。
そして杏樹宛の手紙には、次のように書いてあった。
「おてがみと ちょうのえを どうもありがとう。
えを みて、おはなしを おもいついたので、
それを かきいれて おかえし します。
これからも 本を たくさん
たのしんで ください。
さいとう ひろし」

これを杏樹に渡したときの喜びようったら、みなさんも想像つくでしょう。


斉藤洋さんのおはなし

 それにしても、こちらから杏樹の文と絵に、僕の感想文を添えて速達で出したのが6月9日木曜日だから、講談社に10日金曜日に着いても、それから斉藤氏のところに転送されるわけだよね。それなのに、斉藤さんのお返事の日付は6月12日日曜日となっていた。つまり、土日に配達しない郵便局頼りでは、このスピードは不可能だ。どのようにしてそれが可能になったのか知らないが、講談社も敏速に対応してくれたんだな。感謝します!
 斉藤氏からのお返事が僕の家に届いたのは14日火曜日の午前中だから、遅くとも13日月曜日には投函していただろう。しかも・・・しかもですよ。郵便は速達となっていたのだ!こちらが、なるべく速く届けたいと思って速達にしたのはむしろ自然の成り行きだとしても、斉藤さんが速達である必要は特にないんだ。別に杏樹のところにはいつ着いても、本当は関係ないなずなのに、あえてそうしてくれたのは・・・ひとえに斉藤さんの優しさ故だ!

 しっかり杏樹の心と向かい合ってくれた斉藤さん!ありがとうございます!杏樹はきっとこのことを一生忘れないのではないかと思います。



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