浜松からの帰り~停電の影響
三澤洋史
クリスマス・オラトリオのYoutube映像
先週宣伝していましたが、すでに東京バロック・スコラーズのクリスマス・オラトリオのYoutubeがアップされています。クリスマス・イヴまですぐですが、是非観て下さい。
特に、冒頭のパストラル・シンフォニーに乗って、僕のメッセージがありますが、今、自分が一番想っていること、願っていること、祈っていることが語られています。
それから実際の音楽の映像に移って、クリスマスの物語が音楽に乗って語られてくるのを聴くならば、崇高なる存在が肉に宿って、人々に道を説くということを通して、なんと大いなる愛が人類に注がれていることだろうと、あらためて僕自身は感動してしまいます。
どうかご覧になってください!この原稿を書いている時点で、すでに554回の視聴者が観てくれています。
ありがとうございます!
VIDEO
バイロイト音楽祭2022放送終了
さて、京都在住の時から音源を聴き、コロナ感染中にも手を休めることなく原稿を作り、NHKに出向いて行って3日に分けて録音したNHK・FMバイロイト音楽祭2022の解説も、12月18日の夜の「トリスタンとイゾルデ」をもって放送が終わった。
聴き逃し放送についてはNHKの《らじるらじる》 で聴けるけれど、保存は一週間と限られているから、今週の間に、それぞれ一週間が過ぎていくので、だんだん聴けなくなってくるんだ。
でも、《らじるらじる》が、生放送と違って便利なのは、ファイル全体からその時間だけ抜き出して聴けるところにある。たとえば僕などは、音源ファイルはもうとっくにバイエルン放送協会のオリジナル・ドイツ語バージョンを持っているので要らないから、自分のスピーチだけ録音して持っている。
ただ、録音については、《らじるらじる》から直接WAVEファイルを入手できればいいんだけど、そうはいかないので、ちょっと面倒くさいよね。若い頃は原始的にラジオのスピーカーから流れる音を、録音機のマイクで採っていたのに比べるとずっと楽だけどね。
僕は、いくつかラジオの音声を録音できるアプリを探したのだが、その間にたまたま、映像を編集するソフトであるCyberLink PowerDirectorの最新バージョンの中に、ScreenRecorderという、パソコンのデスクトップの画像と音声をそのまま録画できるアプリが入っていることに気付き、そこから音声だけ抜き出してWAVEファイルとして保存している。
いやあ、今回は秋から本当にワーグナーの楽劇をよく聴きました。それで最終的に言うと、やっぱり僕は、バッハと並んでワーグナーが大好き!
浜松からの帰り~停電の影響
浜松バッハ研究会 では、来年2023年4月22日土曜日に、バッハ作曲ロ短調ミサ曲を演奏する。
(画像クリックで拡大表示)
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12月17日土曜日と18日日曜日、その練習に浜松に行った。ところが18日の午後の練習の休み時間、団長の河野周平さんが、
「三澤先生、新幹線が止まっていますよ」
という。控え室に戻ってきてネットで調べてみたら、ありゃりゃ、停電だというではないか。13時頃、豊橋~名古屋間で架線が切れて停電が起きているという。
と言われても、今更何もできないので、午後のオケ練習を5時半近くまでやり、とにかく浜松駅まで行った。すると、コンコースまで人が溢れている。いつもはEXという予約アプリで指定席を取るのだが、とてもそんな状態ではないので、自由席にしようとしてもアプリが機能しない。仕方なく、普通の券売機で自由席切符を買って、ホーム目指して改札口を通った。
とにかく、どこもかしこも人が溢れている。浜松駅の新幹線ホームに、あんなに人がいるのを見たことがない。とりあえず最後列に並んだ。寒空の中風が吹き荒れていて、まるで我々をあざ笑っているよう。
しばらく並んでいると今17時50分くらいなのに、13時台の「こだま」がホームに滑り込んできた。みんな我先に新幹線の入り口に吸い込まれていく。13時から待っているだろう人たちの勢いがもの凄い。たちまち入り口の扉付近にまで人が溢れてしまって、とても乗れる雰囲気ではない。
突然、アナウンスで、
「指定券車両でも、デッキでは立って乗っていけますので、そちらにお回りください!」
という声が聞こえると、若い子達を中心に、みんながもの凄い勢いで新幹線前方に向けて走り出した。こちらはすっかり気後れしてしまって、その場に立ちすくんでしまった。やがて「こだま」はパンパンに人を乗せて重そうに動き出し、走り去っていった。
さ・・・て、どうしよっかな・・・。寒いので、一度待合室に戻って暖を取ろう。要するに13時から乗れなかった人たちを全部乗せないことには落ち着かないんだろ。改札の中だけじゃなく、外のコンコースに溢れかえっていた人たちも、みんななるべく早く乗りたいんだよね。
そんな中で、
「俺が、俺が!」
と自己主張するのもはしたない。ま、ちょっと、待合室で落ち着いて・・・と思いながらホームから下りエスカレーターで降りて待合室に向かった・・・甘かった・・・そりゃ、待合室だっていっぱいさ。椅子なんてどこも空いていない。どこも落ち着くとこなんてない。
「ええと・・・・。一度改札から外に出してもらって、ホテルでも探そうかな」
と歩き出したら、あろうことか、アナウンスが、
「間もなく13時○○分発東京行き『ひかり』が到着します」
と言うではないか。待合室の人たちも驚いて動き出した。僕も改札の方へ向かう途中だったので、位置的に有利だったので、とりあえずホームに出てみた。
あれれ!もう「ひかり」が着いている。それで、どうせ自由席の1号車あたりは人で溢れているから、12号車の方に急いで向かい、デッキに入った。
「おお、乗れた!」
後から人がどんどん入ってきて、客席の通路までいっぱいになったけれど、とにかく帰れる!
それにしても、駅の中では、アナウンサーも含めて、こういう時の危機管理がまるでできていなくて、対応が悪すぎる。浜松は、名古屋なんかと違って、基本的に本数が少ないのだから、先の「こだま」が出発した後、一体いつ次の電車が来るのか分からない。
「ひかり」がこんなに早く来るのが分かっていたら、新横浜や東京まで行く人は、みんな、あんなに必死で「こだま」に殺到する必要もなかったろうし、その後、僕みたいに諦めてホームから離れることなんかしなかったろうに・・・後続列車がどこにいるのかを誰も把握していなかったのか?
それに、僕みたいに新横浜で降りるような人は、結局「こだま」に乗らなくて正解だった。「ひかり」の停車駅は、静岡、新横浜のみだ。「こだま」に乗った人は、あの寿司詰め状態のまま、いくつかの駅で、僕たちの「ひかり」や「のぞみ」に追い越されるだろう。また、座席に座っている人や、通路にいっぱい立っている人たちが、それぞれの各駅で降りたり、新しい人たちが乗ってくる混乱を考えると、気の毒だ。
次の静岡では、数人が降りて行ったけれど、ドバッと人が乗ってきて、僕は山手線の朝のラッシュのような状態で、人の間に直立した。もう《密》なんて言ってられる状況ではない。可哀想なのは、2人の小さい子を連れた若い夫婦で、電車が走り出したら、子ども達が疲れていて、人混みの中、両親の足下で眠ってしまった。父親は折りたたみバギーも持っている。そこに、無理矢理トイレに行こうとするおばちゃんが人をかき分けてきたり大混乱。
また、新横浜が近づいてきて、他の乗客が降りるために、例の子ども達が起こされて立たされ、不機嫌になっているところに、
「新横浜駅ホームに、乗客が溢れていて対応できないため、駅直前ですが、少しお待ちください」
というアナウンスが流れた。すぐ動き出すかと思ったら、それからなんと15分も止まっていた。子ども達がとってもカワイチョーだった。
ふうっ!やっと新横浜に着いた。もうラッシュは終わりかと思ったら、新横浜駅改札から横浜線に向かっておびただしい人々の群れが押し寄せてきた。僕は菊名までのひと駅なのだが、またこれが超ラッシュだった。後で調べてみたら、ドリカムDreams come trueのコンサートが終わった直後だったみたい。重なるときは重なるね。その日は、東横線に乗っても、武蔵小杉から南武線に乗っても、なんだか人が多くて全然座れなくて、家に着いたら本当にくたくただった。
でも、僕なんかまだいいね。新幹線に乗っていた人は、停電で、空調も切れて、トイレも使えない状態で4時間も閉じ込められたというからね。気分が悪くなった人も少なくなかったし、途中で簡易トイレが届いたというが、そこに20人もの人が並んだとか、思いもかけない危機というのは、突然来るのだね。トイレの問題は深刻ですよ。特に女性は。
浜松バッハ研究会のロ短調ミサ曲
さて、帰途はそんな結末だったけれど、浜松バッハ研究会 の練習は、とても実りあるものであった。来年の冬は、いろいろが立て込んでいて、本番の4月22日のための練習が、年が明けてからは、3月5日日曜日と4月15日土曜日の2日しか取れない。そこで、すでにオーケストラ練習が10月から始まっていて、今回も18日はオーケストラが入っての練習となった。
今回の予定は以下の通り。
12月17日土曜日
18:30-21:00
合唱音楽練習
12月18日日曜日
9:30-12:00
合唱音楽練習
13:00-15:15
オケ付き合唱練習
15:30-17:30
オーケストラ練習
この午後からのオケ付き練習では、三重在住のトランペット奏者である
松野美樹(まつの はるき)さん が率いる3本のトランペットが加わっての練習となった。事前に17日にトランペットだけの分奏を松野さんが行ってくれて、練習はSanctusから始まったが、いやあ、松野さんのトランペットは凄い!以前から素晴らしかったが、さらに進化していて、音の輝かしさや伸びが絶品である。それを聴きに来るだけでも価値があります。
休憩時間にいろいろ話をしたが、彼は本当の意味で“職人”だと思う。僕の親父は大工で、とても職人気質だったし、それは僕自身の中でも受け継がれている。だから、真の職人気質を持つ人を見ると、本当に嬉しいし、最大限のリスペクトを捧げます。指揮者ってお山の大将で威張っているように見えるけれど、自分だけではなんにもできないんだからね。
この
浜松バッハ研究会管弦楽団 は、
浜松交響楽団 のメンバーが中心となっているアマチュア・オーケストラであるが、僕が浜松で最初の演奏会を行った1991年以来、常に熱いモチベーションをもって高い水準の演奏を成し遂げてきた。
最近まで、元ハンブルグ交響楽団コンサートミストレスだった北川靖子(きたがわ きよこ)さんがコンミスを務めていてくれたが、残念ながら癌のため他界してしまったので、今回から、川原千真(かわはら ちま)さんをお迎えしている。
僕の大好きなバッハの内でも最も好きなロ短調ミサ曲がまた指揮できるかと思うと、いまからもうワクワクしている今日この頃です!