「ローエングリン」いよいよ本番

 

三澤洋史 

写真 三澤洋史のプロフィール写真

徹底的にポジティヴに生きよう
 コロナ禍で仕事がなんにもなくなってしまった間に、僕はいくつかの貴重な体験をした。その頃、真生会館で「音楽と祈り」という講座を持っており、それが中止になってしまったことが残念で仕方なかったため、なんとか自力で講座を続けるぞと思った。
 何故なら、僕が講座を準備し行うことによって、僕の人生は“生き甲斐”に満ち、ワクワクした毎日を過ごすことが出来たから。それを失いたくなかったのだ。
 そこで僕は考えた。リアルな講演ができないのなら、ネットで配信すればいいやと思ったのだ。それで僕は、それまであまり興味のなかったYoutubeの配信の仕方を勉強し、講演を配信した。当時理事長だった森一弘司教は、そのことをとても喜んでくれて、僕を食事に招待して下さった。

 その結果Youtubeそのものを観るようになったわけだが、そこで「バシャール」に出遭った。バシャールとは、地球から約500光年離れたオリオン座近くの惑星エササニ星に住んでいて、アメリカ人のダリル・アンカという人物を通して、チャネリングによって様々なメッセージを送ってきている存在だ。
 バシャールの話に寄れば、エササニ星の住人そのものが、もう救世主レベルの霊性を有しているように感じられる。僕はバシャールの説くメッセージを通して、これまで自分が抱いてきた様々な宗教上の謎が一気に解けたのだ。
 つまり仏陀やイエス・キリストなどの救世主たちが本当に説きたかった事が、とても分かりやすく述べられていて、まるで霧が晴れるように全てを理解できたのである。

 バシャールの説く人生における3つの原則というものがある。

1)ワクワクすることに従う
2)自分のできる限りを尽くしてワクワクすることを行動に移していく
3)結果にこだわらない

 3つの原則の3番目の「結果にこだわらない」というのは、最初ちょっと分かりにくかったけれど、実はここが一番大切なのである。つまり、ワクワクすることに従って行動した結果は、必ずしも自分が予想したようには展開していかないと言っているのだ。
 何故なら、ワクワクするということは、自分の波動が上がるということであり、そのことによってひとつ上の波動の世界に自分がシフトしていくわけだから、波動が上がる前には分かるわけないのだ。
 赤毛のアンが言っているように、
「曲がり道の曲がった先は、曲がってみなければ分からないわ」
ということで、結果に執着することなく、つまり期待を手放しながら、次の出遭いを楽しみに待てばいいのである。

 これが釈迦の言う因果応報であり、イエスが言う、
「誰かがあなたの右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい」
と言う言葉の真意である。
 人が行動を起こす時、それが良い行動であれ悪い行動であれ、その事によって、自分は世界に一石を投じ、世界は変化する。それはこの次元での話だけでない。この宇宙には、無限の並行宇宙なるものが存在し、自分の魂は、その波動に合った世界に絶えずシフトしていく。愛の行為をしたならば、より高い愛の並行宇宙にシフトし、より高いステージで愛を学ぶことが許されるのである。
 左の頬を向けるような行為に飛び込んでいくことによって、そうした自分が、これまでに経験したことのない魂の状態を体験する。また、右の頬を打った相手の魂にも、何か新しいものをもたらすだろう。そして、新しい関係が生まれるかも知れない。人生は損得の常識的世界観から一度離れるべきなのである。

 僕が、バシャールに出遭った時、僕は、
「こうしてこの真理に辿り着いたのも、自分が“なんとしても講座の準備というワクワクを捨てたくない”という気持ちに従ってYoutubeを始めた事で、その因果応報としてYoutube上のバシャールに出遭ったわけだ。ということは、自分の体験そのものが、バシャールが言っていることが真実である証しなのだ」
と思った。

 それ以来、その真理に僕は裏切られたことがない。一見、自分がワクワクに従ったことでネガティヴな展開が起こったように見える時も、気にせず信じて、その時点からの自分のワクワクに従っていくことを止めないでいると、必ずどこかで落とし処が来て、
「あ、なるほどな」
と後で納得する結果となる。
 
 今の自分は、あの「音楽と祈り」講座のYoutube版を作っている時の自分より、随分高いステージにいるし、そこでの学びを楽しんでいる。何かが起こっても、そこで落ち込んだり、ネガティヴ指向になることは決してない。勿論、反省はする。それと試行錯誤もする。けれど、謙虚にありのままに生きていくならば、学びは向こうから自然にやって来てくれる。

 また、日頃からよく、
「ありがとうございます!」
と心の中で、あるいは道ばたで小さな声で、よく口ずさんでいる。何故なら「ありがとう」は本当に魔法の言葉で、それを言うことによって、心の中から、
「ああ、ありがたいなあ」
という気持ちがふつふつと沸き起こってくるからだ。ありがとうという言葉は、それだけで魂の波動を上げてくれる。
 旅先で、ホテルの部屋を後にする時、
「ありがとうございました。お陰様で快適に過ごせました」
と両手を合わせて御礼する。
 その癖をつけているからか、人と会っていても、
「ありがとうね」
という言葉が自然に出るようになった。

 偉そうだというそしりを覚悟して、あえて言います。皆さん、何があっても、人から馬鹿だ呑気だ阿呆だと言われても、とにかくポジティヴでいてください。感謝の気持ちを持ち、明日は今日より良くなるんだと、何の根拠もないのに信じ込み、ちょっとしたことでもいいからワクワクするものに従ってみてください。で、結果に期待しないこと。すると、あなたの人生は激変しますよ。これを信じてください。
 

「ローエングリン」いよいよ本番
 今週末の8月20日の愛知祝祭管弦楽団「ローエングリン」公演に向けて、毎週末、熱い集中練習が繰り広げられている。ちなみに書き出して見る。

7月22日土曜日
13時から弦楽器の分奏。夜は飯田みち代さんのコレペティ稽古 
7月23日日曜日
  10時から16時30分 オーケストラ稽古
7月29日土曜日 
10時から16時30分 歌手を入れてのオーケストラ合わせ
夜はピアノによる合唱練習
 
7月30日日曜日
歌手を入れてのオーケストラ合わせ
8月1日火曜日
名古屋日帰りで、夜、ピアノによる合唱練習
8月5日土曜日
夜、ピアノによる合唱練習
8月6日日曜日
10時から16時30分 歌手を入れてのオーケストラ合わせ
8月11日金曜日(山の日の祝日)
13時30分から西聡美さんのピアノ伴奏で、伝令役の初鹿野剛さん、ローエングリン役の谷口洋介さん、エルザ役の飯田みち代さん、及び、4人の貴族達の稽古
8月12日土曜日
午前中は、やはり西さんのピアノ伴奏で、フリードリヒ役の青山貴さん、ハインリヒ王役の成田眞さんの稽古
午後から合唱団とオーケストラが入り、重要な個所の抜き稽古
8月13日日曜日
全幕の通し稽古と、その後直し稽古
その日は4人の王様のトランペットを含む、合計12人のBANDA(舞台上トランペット)が大集合

 団員達はみんなアマチュアだから、ウィークデイには全然別の仕事をしているわけだろう。そこで本来休息を取る貴重な週末を、このようにフルで祝祭管弦楽団に捧げているんだもの、みんな凄いなと思う。

 ある団員は言う。
「土日と祝祭管弦楽団で目一杯練習して、月曜日には“ふぬけ”になってるんです。それが週末が近づくと、また“ようし”って盛り上がってきて・・・その繰り返しです」
全く、頭が下がります。

 練習は勿論、先に書き出しただけではなくて、その前10ヶ月あまりのオーケストラの定期的練習があり、自主的な分奏もあったわけだ。一方、プロのソリスト達も、前の「今日この頃」で書いた通り、僕の何度にも渡るコレペティ稽古があって、なかなか普通のプロダクションではあり得ないようなシチュエーションだが、まさにその点にこそ、愛知祝祭管弦楽団の強みがあるのだ。
 反対から言うと、ひとつのワーグナー作品にきちんと取り組み、上演にまで持って行くためには、ここまでやらないと本当は到底無理だということだ。それは現場を長年経験している僕が一番良く知っている。ワーグナーを舐めてはいけない。

 それでもね、オペラ公演に出演する歌手達にとってみれば、立ち稽古がある期間あるから、演出家からの要求などによって、自分の役柄の立場や動きや心理描写などを突き詰める時間がそれなりに与えられる。
 しかしながら、演奏会形式となったら、一度オケ合わせをやったら、次はもうゲネプロとかだもの。コツコツと勉強するタイプの歌手には、なかなか生きていくのが難しい世界なのだ。
 実際、譜読みが早くて、なんでもすぐこなせるタイプの歌手が重宝がられている。特に我が国では。でも、そういう人が、その役を本当に究めているかというと、微妙ですね。

 オーケストラはもっと極端で、プロでは、たとえば、オーケストラ練習が2日だけ与えられ、それからオケ合わせを経たら、もうゲネプロとかだもの。試しにプロオケの楽員の誰かに訊いてみればいい。
「このライトモチーフの意味は?」
誰も答えられないとは言わないけれど、恐らく答えられる人は最大で数人でしょうね。

 さて、そんな過程を経て、いよいよ本番近辺は次の通り。

8月18日金曜日
夜にピアノ伴奏による合唱団の最後の練習
8月19日土曜日
  10時から愛知祝祭管弦楽団の部分練習
12時から通し稽古
8月20日日曜日
コンサートホールに入り、舞台の設営
BANDAトランペットの配置決めと音響確認
オルガンとのバランス合わせ
歌手達には、部分的に歌ってもらって、オーケストラとのバランス合わせ及び響きの確認
オーケストラは部分練習

15時から本番

さあ、いまからもう楽しみになってきたぞう!

2023.8.14



Cafe MDR HOME


© HIROFUMI MISAWA