「マエストロ・私をスキーに連れてって2024」キャンプ申し込み開始

 

三澤洋史 

写真 三澤洋史のプロフィール写真

「マエストロ・私をスキーに連れてって2024」キャンプ申し込み開始
 いよいよ来シーズンのマエストロ・キャンプの申し込みを開始します。今年は例外的に、9月4日の「今日この頃」の更新の際に、すでにABキャンプ共の日程だけは発表していて、まず宿泊施設の用意だけ皆さんにお願いしていました。

 理由は事前に書いた通り、これまで定宿としていたペンション・カーサビアンカが、マスターの高齢化などの理由で宿を閉めてしまったことが挙げられます。それ以後、こちらでもちょっとリサーチしましたが、他のペンションは皆、スキー・シーズンのそれぞれの時に於いて、すでに常連客もいるため、以前のカーサビアンカのように、僕のキャンプだからといって勝手に“貸し切り”にしてもらったり、多数のキャンプ参加者を優先的に受け入れていただくことは困難だということが分かりました。
 そこで、申し訳ないですが、次のシーズンでは、ABキャンプ共、それぞれご自分で宿を予約していただくことになります。
 また、コロナ渦がしだいに収まってきて、人の流れが予想以上に活発になり、2021年及び2022年の年始からとは打って変わって、先シーズンの年が明けてからの白馬では、しばしばリフトが満杯状態となっていました。
 それが、今度のシーズンでは落ち着いて・・・という状態になればいいのですが、そう楽観的にもなれません。なので宿泊についても、ネットでちょっと見ただけでも、日に日に埋まってきているので、どうかお急ぎになってください。

 申し込みをしてから、
「キャンプが近づいてきたのに泊まるところがありません」
と泣きつかれてきても、残念ながらこちらも対応しかねますので、一番安全なのは、宿泊施設を予約してからキャンプに申し込んでいただく順番がベターかも知れません。

 そういう状況の中で、例外的な重要情報があります。3月9日土曜日に限り、かつてのペンション・カーサビアンカの近くのペンション・あるむのコテージを、マエストロ・キャンプ用に2つ予約することができました。このコテージは、8人まで収容できるそうで、親しい人たち複数でご利用することを条件で、申し込みの時に記入してください。
 “早い者勝ち”です。その一方で、ペンション・あるむの為にも、いつまでも予約を引っ張っていて、結局空室になってしまったというのでは申し訳ないので、年内を目安に、該当者がいない場合、そのコテージの予約を締め切ります。

 ということで、またCafe MDRで追加情報を出します。前シーズンのBキャンプでは、参加者も多く、めちゃめちゃ盛り上がりました。今年は、もうひとり優秀なインストラクターが加わると角皆君は言ってます。レッスンの内容は保証します。必ず皆さん、しっかりスキーそのものが上達することは保証しますし、皆さんが関わっているそれぞれの音楽への影響も保証します!

 今年のメールアドレスは以下の通りですが、必ず募集要項をお読みの上、必要事項を記入して申し込んで下さい。なお僕の個人的なメルアドを知っている人でも、キャンプに関しては、このアドレス以外には送らないでください。先シーズン以前のアドレスも同様で、受け取ったとしても、こちらの方で混乱してしまって、キャンプが近づいて来てからの重要な事前案内ができないとかいう事態が起こってしまう可能性がありますからね。
20maestro.takemeskiing24@gmail.com
では皆さん、心からお待ちしてますよ!
 

ダブルビル初日に感じたこと
 10月1日日曜日。楽屋に入るのになんか物々しいなと思っていたら、秋篠宮夫妻が観劇されるための警備だったそうだ。それに加えて、文化庁長官である都倉俊一氏が、「修道女アンジェリカ」開幕直前、舞台上でスピーチをされた。
 僕は、直後の女声合唱によるアヴェマリアの裏コーラスを指揮するために、舞台袖にいたため、都倉氏のスピーチ内容はよく聞こえなかったが、後半英語でしゃべっていたのは分かった。おお、やるなと思った。

 さて、粟國淳(あぐに じゅん)さんの演出は、近年の読み替えなどが横行する流れから言えば、保守的なものかも知れないが、その一方で、新国立劇場が持っている大ゼリや4面舞台や左右に動く床などをフル稼働で使って、実に効果的な舞台を作っている。
 前半の「修道女アンジェリカ」では、どちらかというとモノトーンな舞台が、「子供と魔法」になると、驚くほどカラフルになり、特に火の場面や、数字の場面、森の場面では、色彩感に溢れ、それに加えてダンスなどの動的な要素が、前半とのコントラストを生み出すが、それでいて2作品見終わった時に、ある統一感を感じさせるのはさすがだ。まあ、親子の愛ということなんだけど。

 稽古中も、「修道女アンジェリカ」では、ちょっとした動きに、内面からの意味付けを与え、イタリア語がほぼネイティブになっている彼は、まさに単語レベルでのリアクションや呼吸の仕方まで指導していく。
 アイデア一発の演出ならば、一度見たらもういいやと思うだろうが、こうした正攻法の演出こそ、何度観ても飽きないものになり、さらに将来またキャストが変わっても、永久に新しさを持って聴衆は受容できるであろう。

やっぱり、大切なのは中身だよね。

 彼の作る舞台で物足りなかったり、失望したりしたことは一度もないし、これからも彼がこのスタンスを貫いていく限り、それは決してないだろう。僕は、来年の11月、淳ちゃんに呼んでもらって、日生劇場でドニゼッティ作曲「連隊の娘」の合唱指揮を担当するが、もう今からとっても楽しみだ。

 今回は、主役だけ外国人で、脇役は全て日本人というキャストとなった。アンジェリカ役のキアーラ・イゾットンも子ども役のクロエ・ブリオも、さすがネイティヴで、言葉のニュアンスのひとつひとつも、言葉と演技とのつながりも、なかなか日本人にはできないなあ、と思わせる。
 でもね・・・でも・・・この形は、我が国のオペラ劇場としてはベストの形態かもしれない。というのは、主役達もさることながら、主役を支える日本人たちの力量が、近年ますます上がってきていて、主役をサポートしつつ、確実に適材適所でそれぞれの存在感を主張しているからだ。
 修道女アンジェリカなんて、みんな修道服を着ていて誰が誰だか分からないとも思うけれど、新米のシスターを教える小林由佳さんにしても、お祈りに遅れてきたシスター達を諫める修道女長の郷家暁子(ごうけ あきこ)さんにしても、みんなそれぞれのキャラを充分に発揮している。その上で、これだけ密なアンサンブルを見せることが出来るのは、僕は断言できるけど、日本人しかいないのではないか。

 その意味でも、この公演は、これからの我が国におけるオペラ公演の方向性と可能性を示唆し、聴衆にも認知してもらえる大切な機会のような気がするのだ。皆さんも、僕のこの言葉を“予言のように”覚えておいて欲しい。
 それが近年の日本のバスケット・ボールだったりサッカーだったりに共通する資質なのだ。日本人は、もの凄いものを持っているのだ。

曼珠沙華
 10月になっても、あちこちに曼珠沙華(まんじゅしゃげ)が咲き誇っている。未だ蕾(つぼみ)のものも少なくない。“彼岸花”とも呼ばれる通り、通常は9月の20日前後のお彼岸を中心に咲く花だ。
 夏の暑さが和らいで涼しくなってくるのを見計らうように、昨日まで何もなかった所にある朝ニョキッと真っ直ぐな幹が伸び、先端がちょっと赤いなあと思っていると、同じ日の夕方には見事に開花している。
 でも、今年はいつまでも暑い日が続いていたため、ずっと待ちぼうけを食わされていたんだろうなあ。とはいえ、そのまま咲かずに終わってしまうってことはないんだ。逞しい花だなあ。その、ちょっと変わった形状と独特の色によって、僕にはとても神秘的な花に感じられる。

 曼珠沙華という言葉は、そもそも法華経、すなわち妙法蓮華経序品(じょほん)第一、つまり始まってすぐのところで出てくる。

仏(みほとけ)、この教えを説きたる今は、直ちに足を組みしまま、「無量義処(むりょうぎしょ)」なる瞑想に入り、身も心も動かず。
その時に、大空は曼荼羅(まんだら)の花・摩訶曼荼羅の花・曼珠沙華の花・摩訶曼珠沙華の花を雨のごとく降らして、仏の上と人々に降り注ぎたり。

 う~~ん・・・やっぱりタダの花ではないんだな。そもそも形状が、あたかも仏が瞑想しているようではないか。今年は、この花を長い期間眺めることができて、なんかラッキーな気がしている「今日この頃」です。

2023.10.2



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