今年も「バイロイト音楽祭」解説やります

三澤洋史 

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i-Padにも意志が?
 前回の更新原稿で、i-Padのバッテリーが壊れた話をしたよね。それがね、僕の身辺では時々こういうことが起こるんだけど、不思議な展開となったのだ。

 この機種を手に入れたのが府中のDocomo Shopだったので、僕は何の疑問もなくDocomo Shopに持って行った。すると、あっさり、
「バッテリー交換は修理になりますので、むしろApple Storeに持って行って下さい」
と言われた。そこでまたパソコンでいろいろ調べて、立川北口ヤマダ電機LABI 6Fのアップル・クイックガレージの窓口に予約して行った。

 するとお兄さんは、
「まず調べてみますね」
と言って、充電器を持ってきてi-Padに繋いだ。案の定1%のまま充電状況は変わらない。「充電してないですね」
と言い、それから、
「バッテリー交換といっても、i-Padはこじ開けてバッテリーだけ交換ってできないんですよ。(あれえ?ネットではできるって書いてあったのに・・・)機器そのものの交換となります。その前にこのi-Pad自体の診断をします」
と言いながら、何やら器具を繋いで診断を始めた。

 診断を進めながら続けて言う。
「最新のものは、この型よりもずっと進んでいて、いろんな機能が追加されていますよ。どうですか、この際ですから最新バージョンに買い換えてはいかがですか?」
ほうら来た。こうやってすぐ新しい物を買わせるんだ。その手に乗るか!
「いえ、このバージョンで満足しているのですよ」
「でも、このバージョンでも完全交換ですから、型落ちといっても、最低でも5万円以上かかりますよ」
そう言われて僕は腹を立てた。まだ愛着があるんだよ。そんな簡単にバイバイしたくない!そう思いながらふとi-Padの画面に視線をやる。
「あれえ?」
と目を疑った。バッテリーが1%から、なんと4%に増えている。それが見る見る内に7%となり10%に達した。
「えええっ?」
それとは別にお兄さんが言う。
「診断の結果が出ました。あのですね、バッテリーも含めて、どこにも異常がありません!」
「そんな馬鹿な・・・でもね、今こうして急にバッテリーの数値が上がり始めています。ほらっ、もう12%になっている!あっ13%!分かりました。このまま家に持って帰って充電を続けてみます!」
と言って、あっけにとられるお兄さんに別れを告げて、家に帰って来た。
充電を続けていたら、あっという間に100%になった。一体どゆこと?

 僕が思うに、i-Pad君は、機種完全交換と聞いて、僕に捨てられると思い、急に反省して充電を許したのかも知れない。僕覚えていないんだけど、彼が充電拒否したのは、いつかある時、何か彼の気分を害することをしたのかも知れない。
 とにかく、それからの僕はi-Pad君を撫でながら、丁寧に丁寧に使っているよ。彼は、何の不具合もなく元気で活躍し続けている。僕は、Petrucciからダウンロードした「修道女アンジェリカ」と「子供と魔法」のフルスコアを消去して、その代わり「魔笛」のフルスコアを入れて来週の京都に持って行くつもり。
 それからドヴォルザークの「新世界から」の2種類のスコアが入っている。これから、NHKから頼まれた「ニーベルングの指環」4部作のスコアも入れて、i-Podに入れる音源資料と共に、行く先々で聴くつもり。

今年も「バイロイト音楽祭」解説やります
 NHKから、今年もバイロイト音楽祭2023の解説を正式に頼まれた。今年のバイロイト音楽祭は、昨年のヴァレンティン・シュヴァルツ演出の「ニーベルングの指環」4部作の再演と、新制作の「パルジファル」、それから「さまよえるオランダ人」「タンホイザー」「トリスタンとイゾルデ」という演目であるが、年末に放送するのは「トリスタン」をのぞく7演目ということである。
 僕が担当するのはリングの4部作。あとの3演目は、今年御自身でバイロイトに赴いた広瀬大介氏が担当するという。僕も本当は、合唱指揮者エバハルト・フリードリヒに頼んで、ゲネプロを見せてもらいに行きたいと思っていたけれど、愛知祝祭管弦楽団「ローエングリン」のコレペティ稽古の真っ最中だったし、いろいろ重なって無理だった。
 リングでは、昨年、本来新演出のプリミエを指揮するわけだったフィンランド人のピエタリ・インキネンが、新型コロナ感染のためキャンセルして、2022年度は、コルネリウス・マイスターが急遽担当した。それが1年遅れていよいよインキネンの初登場というわけだ。聴くのが楽しみ!

 音源がチェック中ということで、まだ送ってこないけれど、その間に僕は情報収集している。まずは、ネットに挙がった今年のバイロイト音楽祭の紹介記事や批評をプリントアウトして訳しながら読んでいる。
 ここのところ、イタリア語のレッスンで、イタリア語の小説を訳して先生にチェックしてもらうことをやっており、イタリア語にかなり傾倒していただけに、いきなりドイツ語の洪水に晒されてやや戸惑ったが、慣れてくるとやっぱりドイツ語の方が圧倒的に辞書を使う頻度が少ない。

 演奏を聴く前に先入観を持ってしまうのは良くないという意見もあるけれど、まあ大丈夫。批評は批評。自分の耳で聴けば、むしろ批評が当たってるかどうかも判断できる。それにドイツ人の批評というのは面白くて、みんな個性的。そもそも客観的というのをあまり目指していないんじゃないかな。褒めっぱなしというのはまずなくて、批評家によって言っていることがバラバラ。批評を読んだだけでは、そもそも演奏が良いのか悪いのかもよく分かんねー!
 
そんなわけで、音源が待ち遠しい今日この頃である。

写真 バイロイト音楽祭2023の紹介や批評記事
紹介及び批評

オイリュトミーな日曜日
 10月15日日曜日。「にもプロジェクト」の打ち合わせと、練習の見学に行く。「にもプロジェクト」とは、ホームページでも謳っているように、
「この厳しい時代にあって、“にもかかわらず 生きる” 困難や勇気を、希望や祈りを、それが心の歌となり全身の動きとなって羽ばたいていく喜びを、私たちはオイリュトミーを通して多くの方々と分かち合いたいと願っています」
という趣旨により命名された、プロのオイリュトミー集団だ。

 2024年8月17日土曜日、パルテノン多摩、及び、8月24日、愛知県長久手文化の森の「森のホール」に於いて、フル編成のオーケストラとの共演による、ドヴォルザーク作曲交響曲第9番「新世界より」全曲の公演を目指す。実際には、この曲だけではなく、その前に言葉のオイリュトミーや、エルガー作曲「エニグマ変奏曲」からNimrodニムロッドの弦楽四重奏演奏などある。

 特に、長久手での演奏には、僕が毎年名古屋で行ってきた愛知祝祭管弦楽団のワーグナー公演が、来年は丁度休みなので、メンバーの一部に乗ってもらって、即席の「にもスペシャルオーケストラ」なるものを結成して、演奏してもらおうか・・・ということで計画していた。
 そうしたら、「にもプロジェクト」の方から、
「三澤さんの息の掛かった人たちのオーケストラだったなら、ちょっと経費はかさみますが、いっそのことそのオケで東京公演もやってもらえませんか」
という要請が来た。
確かに僕自身、東京では残念ながら、愛知祝祭管弦楽団のような「自分の手足になるようなオケ」は持っていないので、勿論それが実現するならそれに越したことはない。

 そこで、実際にかかる交通費や諸経費などを打ち合わせし、それが現実的に可能なのか、今日は練習前にいろいろ相談したわけである。実を言うとそれまで僕は、名古屋の人たちを東京に呼んで演奏させることは半分諦めていた。だって40人呼ぶということは、彼らを行き帰りの新幹線に乗せるのだけで80万円かかるんだよ。それに土曜日夜公演なので、二泊分の宿泊代とか・・・考えるだけで大変ではないか。
 でも主催者が言うには、クラウドファンディングなどにもアプローチして良い感触を得ているということなので、もしかしたらうまくいくのかも知れない。

 というか、最近では、僕が自分のワクワクに従って無邪気に行動していくと、駄目そうな事でも大抵うまくいくのだ。「マエストロ、私をスキーに連れてって」キャンプもしかり、アッシジ祝祭合唱団もしかり。僕自身がブレたりしなければ、実現不可能に見えるものも、これまで可能になってきた。僕は神様に守られているので、今回もきっとうまくいくのだ。あはははは!・・・何の根拠もないけれど・・・・。

 その後、オイリュトミーの練習に行く。今日は第4楽章の練習。オイリュトミスト達は、弦楽器、管楽器、ティンパニーなど、それぞれのパートに細かく分かれて踊っている。僕自身は、まだ見学の域を出ないし、実際に指揮もしていないが、今日までにスコアを良く読み込み、ほぼ暗譜している状態で来たので、伴奏ピアニストに合わせて踊っている彼らから醸し出されるオーラの流れ、あるいは楽器ごとの動きと、それが交差し混じり合うエネルギーが肌で感じられ、それが僕の頭の中のスコアとシンクロして流れていく。
 昔、自分でもオイリュトミーをやっていた時に、音楽オイリュトミーのピアノ伴奏をやっていたので、ピアノだと難なくサクッと合わせられることを知っている。でも、数十人の楽員にリアルタイムで対応するのって、結構チャレンジアブルだ。そう思いながら、同時に、今の自分ならば出来ると思った。いや、今の自分でなければ簡単には出来ないと思った・・・・何の根拠もないけれど・・・・うふふふふ!

 皆さん!これはね、実現したら、きっと僕のみならず、皆さんにとっても新しい体験となると断言します。勿論、こうしたオケを指揮しながらのコラボそのものは、オペラでもバレエでも出来るし、これまでにもやってきた。
 でも、たとえば、バレエというものは、音楽の中の特にリズムやビートに反応し、その上に乗って“自分の技を披露する”要素がとても強い。それにテンポを取っていくのはあくまで指揮者だ。でもオイリュトミーは技の披露なんかじゃなく、本質的に“音楽そのものの生命の表現”だから、動きとのコラボの質は、もっともっと内面的で凝縮されていなければならない。

 でも、絶対、高度なレベルで実現させてみせる。だから皆さん、公演にはなるべく足を運んで下さい。一枚でも多くチケット買ってください。
 

もしかして全ては繋がっていた?
 京都大学医生物学研究所の宮沢孝幸准教授は、勇気ある人だと思う。人が何かを行う場合のモチベーションとして最も安易なのは、まず金銭的に儲かることであり、次は社会的地位を上げることにある。逆に言えば、そのふたつを脅かされても何かをあえて行う場合、そこには“信念”がなければ成し得ない。

 彼は、新型コロナ・ウィルスの発生や、特に変異の仕方に疑問を感じ、近いところでは8月5日に論文を発表し、9月26日のウィルス学界で、オミクロン変異は自然変異ではなく、人為的な変異であることを発表した。それを時には街頭演説をしてでも訴え続けている。
 彼の言葉によると、専門家が遺伝子配列を観れば0・1秒で「おかしい」「自然界ではあり得ない」と分かるという。
「世界中の専門家はみんな分かっているのに、何故言わない?」
と彼は訴える。
 京都大学も困っているのではないかな。ここまで有名になってしまったら、うかうかクビにできないし、かといってこのまま許していていいのか、なんてどこからか突っつかれていて・・・今頃頭を悩ませているかも知れない。
 宮沢氏の言っていることが本当だとすると、2019年終わりから始まった新型コロナ・ウィルスの感染拡大そのものが、巨大な闇を背負っていることになる。すると次に来る疑問は、「誰が、何の目的で?」ということになる。

 それについても、いろんな人がいろんな事を言っている。それを2020年から21年にかけてのアメリカ大統領選挙に結びつける人も少なからずいる。つまりトランプ前大統領の再選を絶対に阻止したかった勢力の仕業だというのである。
 僕自身には、それを判断するだけの情報も知識もない。しかしながら、コロナ禍で暇だったからその経過を見ていて、はっきり言えることは、あの大統領選では、あんなにあからさまに不正が行われていたのに、米国でも、そして我が国でも、大手マスコミはそれを一切認めず、報道を拒否していたことだ。
 2021年1月6日の決選投票の日に、トランプ氏が民衆を扇動して議会を占拠したという事件も、実際には警備員と民衆との和やかな会話や、むしろ警備員が誘導するような映像が現実にYoutubeで残っているのに、その事件が、これだけ時が経った今でも蒸し返されて、トランプ氏逮捕の理由となっているのは全くの茶番だと思う。

 僕がそれらに気付いたのは、コロナ禍で仕事を失ってYoutubeを観るようになり、さらにYoutubeを実際に自分で発信するようになったことによる。
「Youtubeは玉石混淆だから、嘘もあれば根拠のないものも多々ある」
ということで、テレビだけ観ている人は軽視する傾向がある。確かに玉石混淆ではある。でも、中には消されることを恐れながら勇気を持って発表している人もいるんだよ。そして実際に消されてしまったものも少なくない。そういう人たちの筆頭にトランプ氏自身がいる。

 トランプ氏は、
「自分がもし大統領のままでいたら、ウクライナへの侵攻は起きなかった」
と言っている。その真偽に対しても、僕自身判断することはできない。しかし、もしかしたら、そういうことが全て繋がっている可能性はゼロではない。

 かつてケネディ大統領が暗殺されて、そして、あの不毛なベトナム戦争が始まったように・・・・。

 そう考えてくると、宮沢准教授が戦っている相手は、実は、全てのマスコミをも手中に収めている巨大な勢力かも知れない。だが僕は思う。科学者のエビデンスが否定される世の中はあってはならない。彼が無事で自分の信念に従って事を成し、それが世間に健全な形で受け入れられるよう、僕は日々祈っている。

2023.10.16



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