「シニアに楽なスキー」が全員にピッタリ!

三澤洋史 

写真 三澤洋史のプロフィール写真

「シニアに楽なスキー」が全員にピッタリ!
 「マエストロ、私をスキーに連れてって2024」Aキャンプが無事終了した。今回のキャンプの大きな特徴は、受講者5人が全員僕と同じ世代だったことと、特別講師として平沢克宗氏をお迎えしたこと。この二つがぴったり合って、他では決して味わえない実りあるキャンプとなった。

 平沢氏のお父さんである平沢文雄氏は、1983年NHK教育テレビの番組「ベストスキー」に出演することで、当時日本で最も有名なスキーヤーだったが、1996年には、同じNHKで「中高年のためのスキー術」に出演。高齢になってもいつまでも滑れるシニアスキーの第一人者として90歳になろうとする現在でも現役活動を続けているレジェンドである。
 一方、息子さんの平沢克宗氏は、最初はオーストリアでスキーの名手ベルント・グレーバーからアルペン・スキーの真髄を学ばれた。それでいながら現在では、父親譲りの“身体本来の機能を活かした効率的・合理的な滑り方”を研究し、「長く滑っても疲れないスキー、年齢を問わずいつまでも楽々滑れるスキー」を指導されている。

 それは、フリースタイル・スキーヤーとして、ハードで高性能スキーを目指している角皆優人君と対極を成しているように見えるので、キャンプの前から、興味津々であると同時に、
「このキャンプ、どうなるんだろう?みんな混乱しないかな?」
というかすかな不安を覚えていたことを白状しよう。

写真 スキーレッスン冒頭のシーハイル
恒例のシーハイル

 ところが今回のAキャンプは、最初に言ったように、参加者全員が60代後半以上で、特に、
「昔はスキーをしていたが、それから長年やっていない」
という新規参加者が二人いて、最初のリフトを降りた瞬間に転倒した方もいれば、一度転倒したら自力では二度と起き上がれない方もいたが、平沢氏の導きのお陰で、キャンプを終わる頃には、見違えるようにスイスイ滑れるようになって、かつてはスキーに結構しっかり取り組んでいたんだな、と誰しもが認めるような進歩を遂げていた。

写真 平沢氏のレッスン
平沢氏のレッスン

これ、皆さん、誇張ではなくホントの話です!

 さらに、今ほとんど常連となっているT氏は、平沢氏のメソードに我が意を得たりとばかりに、格段の進歩を遂げ、それに影響されて、通常の滑りも上手になった。

では、それって一体どんなメソードなのかというと・・・・。

 といいながら、一度ちょっと話が逸れます。僕が、スキーにはまり込んだのは、2009年の12月終わり。きっかけは、長女の志保が、群馬に帰省中に、
「みんなでスキーに行こう!さあ、パパも一緒に!」
と言うので、僕は、
「いや、自分は・・・」
と咄嗟に答えたが、当時の僕は、血糖値が高くて、お医者さんから食事制限をするように言われ、さらに運動も積極的にするよう促されていたので、何度も二人の娘達から、
「パパ、行こうよ!」
と言われている内に、
「まあスキーでもしてみるか。血糖値のために」
という気持ちになって、
「それじゃあ行ってみるか」
と答えた。娘達には“これでパトロン出現”という魂胆があったのは分かっていたが、甘い声でねだられると断れないことも彼女たちは知っていたんだな。
ということで、湯沢中里スキー場に3人で行った。

 その時の志保の滑りに、平沢氏の薦める滑りがとても似ていたのだ。キャンプのお昼休みに、その話になったが、世界中のスキー場を知っていて、三澤家のレッスンを何度もしている角皆君は、こう言った。
「フランスの滑り方は、ターンの時に結構上体を内旋させるんだよね。向こうでは広大な山を年配の人たちが足を伸ばしたままずっと休まずに滑り降りていく。そのためにはレーサーのような滑りではなくて、平沢さんのような滑りの方が向いているのでしょう」
 志保は、パリ留学の間に、何度もフランスのアルプスに近いスキー場に行って滑っていた。上体が真っ直ぐにピンと立っていて、右に曲がるときには右を向き、左に曲がるときには左に・・・・という風に、いわゆる外向傾とは真逆の動きをしてターンするのだ。

 僕は、湯沢中里スキー場で、
「スキーって面白いな。それに、結構ハードで血糖値を下げるのにはピッタリだ」
と思い、そのままスキーにハマった。父親が2008年に亡くなって、母親が独りで住んでいたので、よく前の晩に母親のところに泊まって、そこから電車で、中里だけでなく、石打丸山などにも滑りに行き、また母親のところに戻ってきたりした。

写真 角皆君のレッスン
角皆君の迎え角理論

 その後、僕は角皆君を頼って白馬に行くようになった。娘達2人と角皆君のレッスンを受けることになったが、ほぼ初心者だった次女の杏奈が角皆君の指示を素直に聞いて上達した一方で、志保は、角皆君の外向傾のレッスンに頭がこんがらがってしまったのだ。それでも角皆君は、志保の上体のスタンスは褒めていたというわけ。それで、今回初めて、志保の滑り方と彼女の混乱の意味が分かったのだ。

 平沢氏の滑りは、両足がピンと伸びていて、滑走の間ずっと体の軸がブレることなくいるので、ゲレンデのどこから見ても、
「この人はタダモノではない!」
と気付くと思う。



 我々が普通に長い間立っている時、膝を曲げている人はいないだろう。何故なら、それだけで疲れるから。膝を伸ばして支えることによって腰が何の負担を感じることなく両足の上に乗り、腰の上には上体がそのまま乗っかる。それが一番疲れない姿勢だ。
 勿論、コブのような急激な斜面の変化では、逆に膝を痛めてしまうだろうから、むしろ膝を曲げてバネのように使わないといけないが、そこを使い分けて滑れば、いつまでも疲れないというわけだ。

写真 平沢氏の講演
講演平沢氏のおはなし


 受講していて、随所で目からウロコが落ちた。滑走に対するひとつのスタンスあるい引き出しとして、いろんなところで応用できると思った。ただ、次の3月のBキャンプは、子供もいるし、必ずしもそれにあてはまらない大人もいるので、また角皆君と相談して2班に分けるとか、考えてみよう。

写真 三澤の講演
僕の講演

 実は僕自身は、この歳になっても、まだこの理論のみで滑る気にならない。年齢故に体力は衰えてきているものの、気持ちだけはイケイケなので、コブにもどんどん行きたいし、新雪も含めて、まだまだチャレンジブルに滑りたいからね。僕の膝が伸びきるのは10年先か、15年先か?

写真 初日レッスン終了後の全員集合
一日目を終えて

 さて、ということで、3月9日土曜日、10日日曜日のBキャンプ及び、その前の8日のプレキャンプも、引き続き募集しています。宿については、一応ご自分で探していただいて、無理ならば角皆君の奥さんの美穂さんが面倒見てくれますので、心配しないでください。待ってまーす!

2024.1.22



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