ハリスが大統領になったら

 

三澤洋史 

写真 三澤洋史のプロフィール写真

楽しい「連隊の娘」の立ち稽古
 日生劇場主催のドニゼッティの「連隊の娘」の立ち稽古が進んでいる。粟國淳さんの演出が楽しくて、桜新町駅からスタディオ・アマデウスまでの道を、毎日、行きも帰りもルンルンで歩いている。


「連隊の娘」 スタッフ・キャスト

 11月9日組のマリー役である砂田愛梨さんは、パワフルで快活。一方、11月10日組の熊木夕茉さんは、声が柔らかく清楚。トニオ役のテノールは、ハイCがポンポン出ないと話にならないが、糸賀修平さんも小堀勇介さんも、全く問題ない。
 他のキャストもみんな良いが、個人的に親しいところでは、「おにころ」を演じてくれた町英和さんのシュルピスの役作りが、けっこうハマっている。元々みなし子のマリーは、連隊の中で育てられたので、みんなが“お父さん”という感じなのであるが、その中でも、最もマリーが信頼を置いているシュルピスの優しさが、ごく自然に歌にも演技にも滲み出ているのだ。

 若い指揮者、原田慶太楼さんも、自分の主張は勿論あるが、よく副指揮者に振らせて、じっくりと立ち稽古を眺め、粟國さんが感じ、創り出す、ドラマの流れや状況を理解しようと務めている。そして、それに合わせてフレキシブルに音楽も対応していくのは、とても謙虚だと思う。そんな感じだから、現場も和やかで明るい雰囲気に支配されている。
 
 終幕。貴族の館に多数の招待客がいるところに、連隊の兵士達がなだれ込んできて、マリーは酒場の女主人だと言う。そこで原作では、招待客は、
「まあ、なんて下品なのでしょう!」
と憤慨して退場するのだが、粟國さんの演出では、
「みんなでハッピーエンドにしましょう!」
という意図で全員が舞台上に残るのだ。
 さて、そうすると、終幕では連隊の男声合唱とソリストのアンサンブルなのだが、女性がいるのに歌わないというのは淋しいので、僕が粟國さんと原田さんに相談しに行くと、彼らも全く同じ事を考えていて、急遽混声合唱で高らかに歌い上げて終わることにした。このように、状況に沿って柔軟に対応していく過程が、オペラ制作の楽しいところだな。

 長女の志保も稽古ピアニストで参加している。それに加えて、今回、彼女は宮廷のピアニストの役で本番に出演することになった。そのために衣装合わせも行い、ちょっとしたダンスも披露する。この点に関しては、本人もドキドキしているみたいだし、僕も父親としてハラハラもしそうなのであるが、まあ、何事も経験だからね。
 

ハリスが大統領になったら・・・
 日本のマスメディアは、アメリカ合衆国大統領選挙前の状況について、未だに「カマラ・ハリス候補者優勢」を強調しているが、その印象操作は大きな問題だと思う。というか、それ以前に、是非強調しておきたいことがある。
 最近のカマラ・ハリス候補者のインタビューの様子などを見る限り、トランプとハリスのどちらが優勢かということよりも、そもそもハリスのような無知で無能な人物が大統領になることをアメリカは許していいのか?ということの方が、はるかに大きな問題だということである。

 たとえばFOXニュースのブレット・バイヤーによるインタビューの様子を見て欲しい。最初のYoutube映像は、及川幸久氏の解説付きのもの。



これを観て、インタビューの全貌を知りたいと思った方は、次の映像をご覧頂きたい。



(事務局注:上記の動画が削除されていたので、オリジナルを探して下記にアップしておきます/2024.11.11)


ね、これって、大統領候補どころか、すでに普通の人としても大いにヤバイでしょう。ブレット・バイヤーの質問に対し、彼女のスピーチは何一つ答えになっていないし、そもそも会話が成立していないじゃないか。

 バイデン大統領になってから、それ以前にトランプ元大統領が作らせていたメキシコとの国境の壁の建設を阻止して、その結果不法移民がどんどん入り込んで様々な問題を起こすようになってしまった。しかしながら、副大統領としてその国境管理を命じられたハリスは、その3年数ヶ月の間に、自分の役目を何一つ果たさなかったどころか、自身で国境を訪問することさえ一度もなかったのだ。
 その話題に触れたNBCニュースのインタビューの答え方といったら、????の連続で、たとえば、
「国境に行ってないですよね」
という質問に、
「ヨーロッパには行ってないです」
と答えるなど、大統領候補という前に、そもそも「この人大丈夫?」というレベルなのだ。



 81歳のバイデン大統領の言ってることが支離滅裂になり、このままでは大統領選を戦うのが無理だと国民のみんなが思うようになった時点で、いきなりカマラ・ハリスが浮上してきた時、78歳のトランプに対して、60歳という若さと健康を誇示するハリスにアメリカ国民が希望を見出したことは当然の成り行きだった。一方、トランプの側からすれば、わずか3歳ながら、バイデンに対して年齢的優位を感じていた状態から、いきなり劣勢に立たされて焦ったかも知れない。
 しかしながら、彼女がテレビに露出し始め、自分の言葉で話すようになってから、「あれれ?」とみんなは即座に気が付き、今や化けの皮が完全に剥がれ落ちてしまった。問題は年齢ではなく、知性、思考力及び判断力、すなわち頭脳にあったのだ。
 あのインタビューをひとつ観ただけで僕は断言するけど、もうハリスに政治家としての未来はないと思うし、それでもハリスが大統領になったとしたら、アメリカはおしまいだ。アメリカの多くの人達も、それに気付いているに違いない。

 では、こういう状態になってもまだ「ハリス優勢」と言っている(特に日本の)マスコミはどうしてだろうか?それは、たったひとつの理由による。すなわち、
「トランプに大統領になってもらっては困る人達がいる」からだ。その人達は、前の大統領選挙において、集計に関するあからさまな不正を行い、1月6日のトランプ支持者達による連邦議会議事堂襲撃事件をでっち上げ、トランプを扇動者として提訴し、罪人に仕立て上げている。それでも大統領選に出馬することを止めることができなかったので、彼らは必死なのだ。

 その一方で、トランプは、はっきりした言葉で言い切っている。
「ディープステートを解体する」
と。

 僕は、今回勉強して初めて知ったのだが、僕が理解していた「ディープステート」という言葉には、実は二つの意味があった。ひとつは、これまで僕が聞かされていたこと。すなわち、「お金の力で善悪をねじ曲げても自分の欲を通そうとする人達」が世界を裏側から支配し操っていて、それにマスメディアも丸め込まれて、情報操作されているということである。
 それに対して、もうひとつの意味は(これが本来の言葉の語源のようなのであるが)、アメリカの表側の政府の裏にあるもうひとつの「Deep闇のState政府」ということで、シンボル的意味ではなく、実際に「闇の政府」だということだ。
 すなわち具体的には“官僚”の中に、政府の言うことを聞かずに、お金で繋がった別の組織に従った人達が少なからずいて、政治家達も、その人たちの言うことを聞かざるを得ないということである。
 まあ、我が国でも、財務省のように、行政も手中に収めて動かしている組織があるが、アメリカでは、もっと大規模なStateとして君臨しているのだろうな。

 つまり、今回の大統領選挙は、トランプVsディープステートとの戦いで、前回はディープステート側が勝利してバイデンが大統領になったが、今回はトランプが絶対に負けられないと言っているわけである。
 ディープステートにも弱みがある。それは、強烈な個性を持った強い指導者を立てられないところだ。自分の意見や主張を持ってもらっては困るからだ。だからバイデンやカマラのような「言うことを聞いてくれる人」しか押し出せないわけだな。
 先の大統領選でも、集会を開いても何人も集まらないバイデンが、会場を一杯に沸かせるようなトランプに、どうみても勝てるわけがないのに、大統領になってしまった。その結果、自分の国が強い国になれるわけがないのだ。

 ということで、僕は当然トランプを応援しているけれど、敵はどんな手を使ってくるか分からない。大統領選まで日が少なくなってきたが、まだまだ油断はできない。注意して見守っていようと思う。

2024. 10.21



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