今年のマエストロ・キャンプ無事終了
三澤洋史
今年のマエストロ・キャンプ無事終了
今年は、花粉が飛び始めるのが例年よりも遅いなあと思っていたら、ある時突然あたりに舞い始め、結構周り中、くしゃみをしたり涙目だったりする人で溢れ、鼻をかむ音があちらこちらから聞こえるようになった。
3月6日金曜日の早朝も、グスグスと鼻をすすりながら、妻の車に乗り込み、7時前に出発して、国立インターから中央自動車道下り方面に入った。高速道路はかなりすいていて、このまま行ったら結構早く白馬エリアに着いてしまうなあと予想された。
差し当たって目指している、蕎麦酒房“膳”の開店が11時からだったので、「困ったな」と思ったので、安曇野インターを降りたばかりのロイヤルホストに一度入って、ドリンクバーで珈琲を飲んで時間調整をした後、再出発。
約1時間走って11時過ぎに着いてみたら、もう満員に近い状態だったので、逆に早く来て良かったと思った。
僕たちは天(ぷら)十割蕎麦を頼んだ。
「ソバって、本当はこういう味がするんだ!」
と、あらためて思うほど個性があるんだね。これは十割蕎麦でないと分からない。皆さん、この蕎麦酒房“膳”は白馬に来たら一度は行く価値がありますよ!
今日は、本キャンプの前のプレ・キャンプが14時からある。参加者は常連のTさんだけかと思っていたら、僕と角皆君の元クラスメイトだったT君とそのお友達のふたりが角皆君の勧めで加わって3人となった。

マエストロキャンプ (写真提供 角皆優人様)
その晩の真夜中過ぎ、激しい雨音に目が覚めた。
「ゲッ!土砂降りやんけ。こんな感じだったら明日からの本キャンプはいったいどうなるんだろう?」
と思って、とても心配になったが、明け方になったら雪に変わっていたので安心した。
3月7日土曜日から本キャンプが始まった。雪が相変わらず降っていたが、雨でなくてよかった!その雪もだんだん止んできた。今回は参加者が多く13名であった。それに対して、指導者側は、角皆君、美穂さん、そして関西からわざわざ、元モーグルA級選手松山さんという豪華なキャンプとなった。
映像は、一日目が緩斜面で行われ、二日目が上部ゲレンデのアルプス平で行われた。レッスン自体の中では、様々なスタイルのエチュードをやり、もっと急斜面でもっと難しい事も沢山やったが、録画では基本滑走に限定した。
それでも映像を見ると、斜度の全然違うふたつのゲレンデで、両方とも全員ほぼ同じようなスタンスで滑走できていること自体が、この2日間の確実な進歩を物語っている。
一日目映像(3分10秒~角皆優人:4分40秒~三澤洋史)
2日目映像(1分53秒~角皆優人:2分08秒~三澤洋史)
レッスン一日目(3月7日土曜日)の午後レッスンの後は、レストラン・グリーングラスに集まって講演会が行われたが、その準備段階において、僕は、これまで行ってきた講演の内容をもう一度整理してみた。アプローチの仕方は毎回違っていても、テーマは毎回同じで、まず、
「自分の周りを取り巻く『物理的法則』に注意を向け、それに精通することによって『音楽を具体的に演奏する行為』に結びつけること」
そして、
「精神性さえあれば良い音楽が出来るのだ、という根拠のない精神主義ではなく、作曲家達がいかにして、『音楽の持つ運動性』の真っ只中に、フレージングや弦楽器の弓の運びなどを通して音楽の神髄を表現しているのか、という具体性を理解すること」
を目指しているのだ。
これが、まさに僕がスキーというスポーツを通して、より音楽の本質を深く理解していった軌跡であり、そこを、音楽に携わる人々に理解して欲しくて、このキャンプを行っているのである。
考えてみよう。ベートーヴェンの「運命交響曲」は、ジャジャジャジャーン!という激しいモチーフで突然始まり、次にそれを2度下で繰り返す。その運動性が聴く者を惹き付け、さらにその後、そのモチーフは繰り返されながら発展していくが、それを「心地良い」と感じ、その中に身を任せることによって、ベートーヴェンの表現したいことを「理屈ではなく」全身で理解されていくのであって、そこから離れた思考から分かるわけではない。
音符が跳躍していく時には、視覚的に飛んでいく何かをみるわけではないけれど、「飛んでいる」と感じ、同じ音が続くときには「停滞している」と感じられる。つまりそこには“内面的な運動性”というものがあり、その運動性を通して、人々はベートーヴェンの意図を理解することができるのだ。
我々は子どもの頃から物理的法則を体感しているから、たとえば石を投げたら、いつどのくらい遠くに着地するか分かるだろう。ベートーヴェンも、哲学だけで作曲をしているわけではなくて、そうした物理的法則に従って音を並べ、そこにある種の「快感」を導き出し、その先に自己の表現がある。
演奏者は、もっと具体的である。美しいフォームは、より能率の良い演奏を可能にする。それは理に適っていて、きれいな音となり、適切な脱力は速いパッセージを容易に導く。そうした事が、全て自分には、スキーというスポーツとの共通性として感じられるのである。
そしてその実感は、年を経れば経るほど、年齢を重ねれば重ねるほど、大きな確信となって自分を包んでくるのである。勿論、スキーをしなければ決してその認識に辿り着けない、などと言うつもりは毛頭ないが、自分は少なくともスキーを通してそうした認識度を飛躍的に上げたという確固たる自覚があるのだ。
キャンプでは、新しい人たちと出遭って親交を深めることができる。スキーという共通項があるから、たちまち仲良くなって様々な話題に花を咲かせることができる。アルプス平にゴンドラで登れば、眼下に広がる圧倒的な景色の中に身を落として飛び込んでいくことができる。こんな楽しみはスキー以外では味わえない!
このキャンプはまた来年も行うので、どうか皆さん、瞞されたと思って参加して下さい。
講演会のお知らせ
3月14日土曜日14時から求道会館にて、東京バロック・スコラーズ主催の講演会がある。これは4月26日日曜日に第一生命ホールで行われる演奏会とのカップリング講演会であり、演奏会のメイン・プログラムは、復活祭をめぐっての3つのカンタータなので、それに関係するトークを中心とする。
復活祭の日程は毎年変わる。これは、キリストが復活したのが“日曜日”だということを優先したためだ。それは春分の日の次の満月の日の次に来る日曜日ということになっている。ちなみに2026年の春分の日は3月20日金曜日で、次に来る満月は4月2日木曜日。その日曜日というと4月5日である。
東京バロック・スコラーズの次の演奏会は4月26日と、復活祭の主日をだいぶ過ぎてしまっているので、枝の主日、復活祭の主日、そして復活祭第3主日という三つのカンタータを並べて演奏するが、今回の講演会では、特にその前の四旬節から説明する。今いろいろ調べているが、面白いことが分かってきた。
あまりバラしてしまうとつまらないのであるが、実はキリストは、いつ生まれていつ死んだのか実際のところ全然分からないということだ。たとえば西暦はキリストが生まれた年を西暦1年とし、その前をBC(Before
Christ)と呼び、その後をAD(Anno Domini)と呼んでいるが、実は歴史学者や聖書学者の研究によれば、ユダヤのヘロデ大王が紀元前4年の時点で亡くなっているので、マタイの福音書第2章1節の、
「イエスは、ヘロデ王の時代にユダヤのベツレヘムでお生まれになった。」
という記述を信じるとすれば、イエスの生まれた年も、学術的には紀元前6年から紀元前4年の間と言われている。
その他、いろいろ調べれば調べるほど、当たり前のように信じられていたことがいろいろひっくり返っているため、目下頭の中が混乱中!まあ、それも含めて、普段聞けないような面白い話が聞けると思うので、4月の演奏会に来れない方でも、僕はこだわらないのでひとりでも多く求道会館に足を運んでみてください。
WT.ブランドの紹介
次女杏奈はメイクアップ・アーティストだけれど、彼女の夫である中村“Nick” 泰貴君は服装デザイナーで、最近WT.というブランドを出した。そのWT.はドイツ語風に「ヴェーテー」と読まれるが、なんとWolfgang
Tannhäuserの略なのだ。モーツァルトのファーストネームと「タンホイザー」を合わせたみたいで、僕としてはちょっと恥ずかしいのであるが、先日フィレンツェでそのブランドの展示会が開かれた。それと同じような展示会が国内で初めて開かれるというので、ここに紹介する。
それで、このホームページを見て、行ってみたいなと思った方は招待いたします。以下がその概要です。そのまま入れると言ってますが、もしかして入り口で呼び止められたりしたら「三澤杏奈の知り合い、とか三澤杏奈のお父さんのホームページを見て来ました」と言えば、全く問題ありません。泰貴君自身は、ほとんど中にいると思いますので、声をかけてあげてください。
展示会の概要は以下の通り。気になるアイテムがあればデザイナーが直接ご案内してくれます。
このたび、青森の縫製工場サンラインとデザイナーの中村“Nick”泰貴によるブランド 【WT. Wolfgang Tannhäuser(ヴェーテー. ヴォルフガング
タンホイザー)】の国内デビューコレクションの展示会を行います。
ブランドコンセプトはラテン語の【ARS AESTHETICA AETERNA(美学のある技術は永遠である。)】

WT.が目指すのは、従来のプロダクト主義的なファクトリーブランドではなく、確かな技術を土台にしながら、シルエット・素材・スタイリングまで一貫した世界観をお客様に提案するブランドです。
デビューコレクションは“SOMEWHERE NOT HERE”をテーマに、ヴィンテージのタキシードやNASAのテストパイロットジャケットを再構築したアウトサイダーなドレスウェアを打ち出します。
すでに1月の Pitti Uomo で一部コレクションを発表しており、ヨーロッパやアジア各国のバイヤーの皆様から多くのご好評の声をいただきました。
サンラインは、国内外のパリ・ミラノランウェイブランドをはじめ、天皇陛下謁見の際の各著名人の礼服まで手掛けてきました。日本屈指の確かな技術を誇るスーツを主力とするファクトリーです。
デザイナーの中村は、フルオーダースーツの縫製や、デニムのナショナルブランドの企画生産など、幅広くメンズプロダクトに携わってきました。
ぜひ実物をご覧いただきながら、細部までこだわり抜いた設計思想や、今後の展望を直接お話しさせてください。
下記、デビューコレクションの展示会のご案内となります。
【for FRIENDS】
3/20(Fri.) - 3/22(Sun.)
11:00~20:00(最終日 CLOSE18:00)
151-0053
渋谷区代々木1-37-4
長谷川ビル2FB号

展示会ご案内
DESIGNER:中村 “NICK” 泰貴
WT. でデザインやクリエイティブ全般を担う。15 歳のころから独学で服作りを始める。
大学で経営学を学ぶ傍ら、文化服装学園夜間部に通い、服作りにおける専門的な知識を学ぶ。
卒業後は銀座のフルオーダーのテーラーの縫製部門に就職。
その後、世界的なスポーツアパレルの生産管理や、国内最大のデニムブランドの企画生産、複数のデザイナーズブランドで企画生産を経験。ミュージシャンのライブ衣装のデザイン制作や、パリのコレクションブランドの美容部員の制服デザインなども行う。
現在は複数の国内外のブランドの企画や生産に携わる。
2026. 3.9