演奏会と講演会の今日この頃

三澤洋史 

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今週末に志木第九の会の演奏会
 明日から9月。明日の1日火曜日とあさっての2日水曜日の午後は、志木第九の会演奏会のソリスト4人を集めての練習。ソプラノ:藤崎美苗、アルト:高橋ちはる、テノール:初谷敬史、バス:大森いちえいという僕のお気に入りの精鋭。
 メイン・プログラムであるモーツァルト作曲「レクィエム」の重唱も勿論練習するが、実はその第1部においては、僕の作曲した「被造物の讃歌」Cantico Delle Creatureを、合唱ではなく、なんと4人の重唱で歌ってもらうのである。伴奏は弦楽器5人とピアノ、それに長谷川幹人さんのエレクトーンが入る。
 なんか、この9月は、どさくさに紛れて、あっちこっちで自作を演奏させてもらう。でも、もう今から楽しみでドキドキしている。

 志木第九の会の演奏会は、今週末9月5日土曜日。場所は、僕も初めて行く「ふじみ野ステラ・イースト ホール棟」開演14時。皆さん、是非いらしてください!

聖フランシスコ帰天800周年に捧げる歌
 8月30日日曜日。聖心女子大学の宮代(みやしろ)ホールにて、午後2時から講演会が行われた。タイトルは「聖フランシスコ帰天800周年に捧げる歌」。関係者によると、講演会でこんなにお客様が入る事はないほど大勢の方がいらっしゃったということである。まあ特に、客席最後列あたりに、第2部の終りで舞台に登場して歌う聖フランシスコ800合唱団のメンバーが陣取っていたので、いっぱいに見えたというのもある。

 実は、今日こうしてホッとして穏やかな気持ちのままこの記事を書けることは奇蹟に近いのだ。皆さんはこんな体験をしたことがないだろうか?僕にはたまにあるのだが、何か特別に大切なこと、あるいは使命感のあることをしようとすると、それを阻止する勢力が陰で働いて、できないんじゃないかという状況に追い込まれるという体験!

 つまり、この講演の数日前には、僕はそのような状態の中にいた。講演のための準備はかなり早くから周到に行っていて、写真を集め資料を集めて、それをパワーポイントという講演用スライドのソフトに順番に入れ込んでいて、完成まであと一歩という時に、突然パワーポイントがフリーズしたまま開けることもできなくなった。
「えっ?嘘!」
 その時の僕の驚愕とあせりとを皆さんは理解できるだろうか?結論から言うと、今僕が使っている自作のデスクトップ・パソコンに寿命が近付いているようで、いくつかのファイルが開けなくなっているのである。とはいえ、関係ないファイルは問題なく機能していて、今この「今日この頃」も、同じデスクトップで書いている。
 講演で使うのは別のノート・パソコンで、パワーポイントで使用した画像などは、当然別のファイルに入っていたので、あわててUSBでノート・パソコンに移したが、パワーポイントがどんなに努力しても開けられないため、記事は最初からノート・パソコンのパワーポイントで新しく作り直さなければいけない。
「今からでは間に合わない!」
と絶望的になった。

 とはいえ、歎いている時間があったら、一刻も早く作り直さなければ!ファイルがフリーズしたのはたしか8月26日水曜日のこと。その晩は東京バロック・スコラーズの「ミサ曲ロ短調」の練習。

翌27日は一日オフ。この日は眼がショボショボなるまで集中して仕事した。

28日金曜日は、午前中にイタリア語のレッスンを受けに行き、その後、ひとり指揮法のズーム・レッスンの生徒さん(生徒といっても、僕と同じくらいの歳)をレッスンするが、午後から夜は空いていた。

しかしながら29日土曜日は一日名古屋に行ってモーツァルト200合唱団のオケ合わせだったので、何もできなかった。

 そして講演会の30日日曜日は、早朝に起きて最後の作業。8時半近くに妻の車で家を出発。9時半に宮代ホールに行って、機器のチェックなどをし、10時から合唱団の練習。14時から講演会。


「聖フランシスコ帰天800周年に捧げる歌」公開講演会
聖心女子大学「宮代ホール」

 結論から言うと、ノート・パソコンで作り直したパワーポイントのファイルは、なんとか間に合ったが、画像ファイルをそれぞれのパネルに順番通りに入れただけという感じで、以前のファイルで文章にした部分は、入れられるパネルもあったが、間に合わなかった個所は、皆さんにお配りしたレジメを自分でもみながら、写真に合わせてしゃべるというギリギリ状態だった。
 でも休憩時間に妻は僕に、
「いつもは画像に文章がギッシリついていて、それを話すだけだったけれど、今回は文章がなかったので、かえってすっきりして良かったわ!」
と言ったので、本人は言葉が詰まらないよう必死だったが、お客さん的には決してマイナスではなかったのかも知れない、とホッと胸をなでおろした。

 休憩後は、聖心女子大学教授でキリスト教文化研究所所長でもある加藤和哉氏との対談で、こういうことに慣れている加藤さんが投げかけてくる質問などが適切で、肩の凝らない、それでいて有意義な話し合いができたと満足している。

 それから9月27日日曜日に第一生命ホールで帰天800周年記念演奏会を開く聖フランシスコ800合唱団による演奏が行われた。曲目は演奏会の演目の中から、聖フランシスコに直接関連する「聖フランシスコの平和の祈り」と「被造物の讃歌」の2曲。作曲と指揮はもちろん僕。合唱団は、勢いは充分あったが、まだまだ荒削りで、これから本番までに、もうひとつ山を越えないといけないな・・・と、今日のお客様には申し訳ないが、決意を新たにした。

 ふうっ!無事に済んでホッとしている。それよりも怒涛のような日々だった!2月2日の「今日この頃」で書いたが、忘れもしない1月30日金曜日の早朝に見た夢を、ありありと思い出す。
 ある人が僕の前に立ち、
「今年こそ聖フランシスコの没後800年の年なのに、お前は何もしないというのか?」
とだけ言った。その直後僕は目が覚めた。恐らく僕の守護霊だと思う。

 それからすぐに、いつも僕を助けてくれる2人を新国立劇場の向かいの珈琲館に呼び出して共に対策を協議し、今日に至っている。本当にありがたい人たちだ。
 神様からの至上命令なので、この講演会もそうだったし、恐らく9月27日の第一生命ホールにおける演奏会も、神の加護の元、絶対に成功すると確信しているが、悪魔の方も恐らく必死なので、心していないと、先ほどのような阻止しようとする勢力が働く可能性もある。何があっても気持ちがブレることなく、調子に乗ることもなく、事を進めていこうと気を引き締めている。

モーツァルト200合唱団のオケ合わせ
 さて、その講演会の前日である8月29日土曜日は、名古屋に行き、金山の音楽プラザにて、13時30分から20時近くまでたっぷりと時間を取って、9月22日火曜日(国民の休日)に行われる演奏会のオーケストラ合わせを行った。今回のオーケストラは名古屋ムジークフェライン管弦楽団というアマチュア・オケなので、何度も充分に練習できるため、みんなは落ち着いて本番を迎えられる。
 曲によってオケの編成が随分違うので、恐らくオケの方で組んでくれたのだと思うが、モーツァルト作曲ピアノ協奏曲第23番KV259で始まり、次にソプラノの川島幸子さんを伴った合唱曲Regina Coeli(天の元后)KV108 。それから僕の作曲したTre Preghiere in Italiano「イタリア語の3つの祈り」。そして最後に、俗に「オルガン・ソロ・ミサ曲」と呼ばれるハ長調のミサ曲KV259を、川島さんを含む4人の独唱者を迎えて大休憩を取らずに行った。

 モーツァルト200合唱団の伴奏ピアニストでもある江川智沙穂さんのピアノに変化が起きて来た。僕が自分の自慢しても仕方ないのであるが、合わせの時に、
「モーツァルトはね、何も考えないとインテンポでSempre Forteになっちゃうんだよ。さりとて、一度インテンポを崩すと、バランスを崩してかえって非音楽的になったりする危険があるんだけど、でも危険を顧みないで、やり過ぎかなと思うほど勝手に弾いてみて!やりすぎたら言うから」
とサジェスチョンをしたので、以前よりずっと自由になったが、彼女の内に持っているバランス感覚が、ギリギリの内側にしっかり留まっているため、やり過ぎることもなく、聴いていて面白くなってきた。
 あと欲を言えば、ピアノ(弱音)においての音色の変化というか、まろやかで柔らかい音色が欲しいところだ。でもそれはないものねだりに等しい。ピアノという機械のような楽器で、音色の変化を出すのは構造上ほとんど不可能にも思われるので、普通だったらポリーニのようになってしまって当たり前なんだけど、それでもそれをやってのけるケンプをはじめとする何人かのピアニストが存在するからね。まあ、望みだけは高く持っていよう。でも本番がとても楽しみになってきたことだけは強調したい。

 さて、以前にも書いたが、ソプラノの川島幸子さんは、大変な逸材だ!  最初ピアノで音楽大学に入り、それから声楽に転向しただけあって、音楽的なフレージングや音符の処理の仕方がしっかりとしており、それに加えて、落ち着いたリリコ(抒情的)の響きを持ちつつコロラトゥーラのテクニックが完璧だ。
 コロラトゥーラの歌手はそもそもLeggero(軽い)の声の人が多いが、リリコの声で転がすことはその数倍難しい。このふたつの要素がこのように両立することは稀なので、とても気に入っている。それが才能だといってしまえば簡単だけれど、僕には、とても努力したんだろうなと感じられる。
 また、最近のモーツァルト200合唱団演奏会の常連でもある、深い響きを持つアルトの三輪陽子さん、軽妙で音楽的なテノールの大久保亮さん、揺るぎない響きとフレージングで歌うバスの鈴木健司さん達が、川島幸子さんを交えた4人で密なるアンサンブルを繰り広げてくれる。
 モーツァルトのカルテットは、どんなに良い声で歌っても、誰かが音色的に飛び出してしまったら台無しになってしまうので、なかなかこうした四重唱は東京でも聴けないと思いますよ。

2026. 8.31



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