月曜日なのに白馬にいます
この「今日この頃」をみなさんが読んでいる頃(4月25日月曜日及び26日火曜日)、僕は白馬にいる。実は、親友の角皆優人(つのかい まさひと)くんが、スキーのDVDを作るにあたって、彼と共にスキーについての対談をしてくれと頼まれたのだ。そのついでに(というか、こっちが本命?)、シーズン最後のスキーを楽しんでこようと思って、二つ返事で引き受けた。
角皆君は、今シーズン、DVD付きの書籍「私のスキー教程1」を出した。そのビデオの音楽を僕が担当しているのだが、これは「上手になるためには何をどうすればいいのか」がきちんと整理されている素晴らしいスキーのガイドDVDだ。プルーク・ボーゲンとシュテム・ターンの必要性を映像と説明でしっかり見せてくれるし、それからパラレルへの行程も、分かり易く教えてくれる。
角皆君は、
「出来上がってみたら、真面目すぎて面白くないので、次に出す2では、対談なども入れて、もっとバラエティに富んだ楽しいものにしたい」
と言っていて、コブを中心とした来シーズンに向けて発行するDVDに、僕たちの対談を入れようとしている。でも、1はスキーの基本についてのビデオなので、これはこれで簡素でいい。まあ2でもうすこし幅を広げたいというのは分かるけどね。
2のためのビデオは、今シーズン続々と撮っていたようで、すでにYoutubeにいくつか上がっている。僕には「ズルドンからバンクターンへ」
これから夏過ぎまでのスケジュール
「魔笛」」公演が4月24日日曜日午後遅くに終った。新国立劇場では、今後、鈴木優人指揮の「オルフェオとエウリディーチェ」、大野和士指揮の「ペレアスとメリザンド」など続くが、僕はしばらくこれらのオペラ公演から離れる。
とはいえ、新国立劇場合唱団からただちに離れるわけではない。彼らを連れて宮崎国際音楽祭に出かけて行って、5月14日土曜日に大野和士指揮「ヴェルディ・レクィエム」の合唱を担当する。演奏会のタイトルは「喪失と悲哀を越えて~大野和士が捧げるレクィエム」。「魔笛」公演の間を縫って数日前から練習を開始しているが、ウクライナの悲惨な状況に胸を痛めている今の自分の心境を映し出しているようだ。
6月5日日曜日には、東京バロック・スコラーズがいよいよ武蔵野市民文化会館で「ヨハネ受難曲」をやる。2年前の3月に、コロナウィルス感染拡大のために中止せざるを得なかった公演。やっと上演に漕ぎ着けそうだが、コロナ禍だけでなく、これも、救世主を意図的に葬るという“人類の愚行”に、やはりウクライナの戦争が意識の中でシンクロしてしまう。
それから、7月13日から17日までの二期会「パルジファル」で、合唱指揮として携わる。指揮者セバスティアン・ヴァイグレ氏とは「タンホイザー」以来の共演だし、演出家の宮本亜門さんが、このBühnenweihfestspiel舞台神聖祝典劇をどう料理するのか、実に楽しみ。
7月31日日曜日には、ユニークなコンサートがある。なんと東京混声合唱団と新国立劇場合唱団との合同演奏会だ!東混から話が来て、双方がプログラムを出し合い、全体を創り上げた。
僕が指揮する演目は、バッハ作曲モテット第4番「イエスよ、来てください」BWV229、モーツァルト作曲アヴェ・ヴェルム・コルプスKV618、ブラームス作曲ドイツ・レクィエム作品45より第4曲「あなたの住まいはなんと愛すべきかな」など。それに、ワーグナー作曲楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」から冒頭コラール、第3幕「目覚めよ」、そして終幕の合唱。
ルドルフとイッパイアッテナ
次女の杏奈が小学校高学年の頃、夢中になって読んでいた本があった。その頃、僕は忙しくて、二人の娘が起きている内に家に辿り着ける日が稀にしかなかったほどだったので、名前だけは知っていたが、その内容については全く知らなかった。
さて、時が果てしなく過ぎて、気が付いてみると孫がもう小学校3年生になっている。コロナのお陰で、練習が夜遅くにまで渡ることが少なくなり、帰宅時間が早い日が増えた。孫の杏樹は、僕と一緒に寝たがり、僕は絵本を読んであげて彼女を寝かせるひとときが大好きだ。でも、だんだん字の少ない絵本では物足りなくなってきた。
ある時、午後に杏樹を立川のシュタイナー学校まで迎えに行った帰り、立川駅構内の本屋さんで、かつての杏奈の愛読書を見つけ、パラパラっとめくってみたら楽しそうだったので、買ってその晩読んであげた。それは斉藤洋・作、杉浦範茂・絵の「ルドルフとイッパイアッテナ」(講談社)。最初のページから惹き付けられ、杏樹と共に僕も夢中になった。とにかく読んでいて楽しい。
ルドルフとイッパイアッテナ
かぐらスキー場
オフ日にスキーに行こうと狙っていたけれど、4月1日金曜日にはエバハルト・フリードリヒに会ったし、4日月曜日及び15日金曜日はいずれも天気予報が雨。実際に雨が降った。残念ながら19日火曜日も天気予報がずっと雨だった。なんて運が悪いんだ、と思った。
ところが前日の18日月曜日に、「今日この頃」原稿を仕上げて、何気なく「かぐらスキー場 天気」と書いて検索したら、なんと一転していくつもの天気予報サイトで「晴れ」と出ているではないか!その日は「魔笛」二回目の夜公演。開演が18時30分なので、終わるのは10時近い。「う~~~ん・・・」とは思ったが、そう思ったって、もう心の奥底では行くって決めているんだ。
翌朝19日早朝。東京では、まだ雨の上がるような上がらないようなグズグズした天気。大丈夫かなと思ったが、越後湯沢に着いたら快晴。さて、このかぐらスキー場というのは、そこへのアクセスも含めて、結構昭和(しょうわ)の世界なんです。それをひとつひとつ説明しよう。
まず、みつまた方面の乗り合いバスは、この時世なのに、なんとスイカなどのカードが使えない。これって結構不便。だって小銭をジャラジャラ運賃箱に入れないといけないし、ちょうど持ち合わせがないと運転席の両替機で両替しなければならない。しかも運賃は390円という超ハンパな値段。スキー板持ち込みの人は100円増しで490円。90円ってなによ。10円玉9枚か、50円玉と10円玉4つ。そんなの、たまたま持っている人が少ない。で、僕も持っていない。
トンネルをふたつ越えて、バスがみつまた停留所に近づいてきた時、僕はめちゃめちゃ緊張して、何度もイメージトレーニングをした。今日は、事前にスキー板を宅配便で送れなかったので、リュックサックを背負い、ブーツやヘルメットを入れた重いバッグを持ち、そしてスキー板を担ぎながら運転手のところ行って100円を両替し、そこから10円だけ抜き取って、残りの400円と合わせて運賃箱に入れないといけない。ううう、ドキドキしてきた。
ところがね、実際に停留所に着いてみたら、僕の前の人たち、みんなチャリンチャリンチャリンと両替し、ゆっくりと支払っている。この停留所だけでバスはめっちゃ長く停車しているが、誰も慌てていないし、苛立っている人もいない。ああ、こういうところなんだね。こののどかさはホッとするね。
このスキー場には、ガーラ湯沢や白馬五竜のような、いわゆる「スキー・センター」なるものはない。チケット売り場の建物があり、その向こうには着替え室とコインロッカーがある建物があるだけ。
リフト券を買いに行った。驚いた。あ、そっか!紙だ。日付が大きく書いてあってリフトのところでおじさんが見るやつ。最近は、どこも電子カードの自動読み取り式になっているので、カード・フォルダーを持ってくるのを忘れた。それでリフト券売り場で買った。100円で、めっちゃショボい。
さらに山奥のメイン・ゲレンデに辿り着くまでに、みつまたロープウエイに乗り、一度リフトに乗って、反対側の斜面を滑り降りて、今度はかぐらゴンドラに乗らないといけない。それが、めっちゃ時間がかかる。まじ30分かかるとみておいたほうがいい。やれやれ。
ただね、そこまでいくと、このメイン・ゲレンデは本当は素晴らしい。なんてったって5月の20日過ぎまで滑れるのだ。2019年4月にK2スキーの試乗会に行ったときには、4月だというのに新雪がたっぷり降って、ここだけはまだ真冬という感じだった。
まあ、今年の4月は、まるで初夏のような日が続いているし、雨も随分降っているから、予想していたよりもずっとザラメ雪でグサグサ。それでもね、他のスキー場の状態と比べたら、かなりマシなんだよ。
田代湖
お昼寝自由の和田小屋
右上が和田小屋
メインゲレンデ下部から